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紙の本
人は、宿命に翻弄される。絶望の淵に立たされる。 そんな時。誰かに話をきいてもらう。 それだけでいいのだ。 人生は、幸せになるためにあるのだから。
2021/12/23 10:44
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投稿者:mitu - この投稿者のレビュー一覧を見る
今日も三島屋に客が訪れてくる。
だが、買い物のためではない。
黒白の間を訪ねてくる。
だが、主人の囲碁の仲間ではない。
言うに言われぬ話を抱えてやってくる。
語る相手は、主人の姪っ子おちか。
語って語り捨て。聞いて聞き捨て。
それだけが約定である。
「人は語りたがる。己の話を。
だがそれは時に、その人生の一端に染みついて離れぬ何かを他者に見せることにほかならぬ。多くの耳に触れ回りたくはない。しかし一度は口に出して吐き出してしまわねば。その何かを墓の下に持って行くのはどうにも辛い。その何かが、いざとなったら墓石の下に収まらないかもしれぬという不安が胸を塞ぐ。
だから、三島屋の変わり百物語は人を集める」(序 P6)
「あの世から戻ってきた死人は、この旅籠の外に出られないのだ。生きていたときと同じようにふるまうことはできないのだ。
それが、死ぬということなのだ」(第一話 迷いの旅籠 P140)
「人の心は面白いもので、どんな贅沢よりも素朴な温もりが染みることもある」(第二話 食客ひだる神 P257)
「弱い者いじめは世の常だ。上士なら平士へ。金持ちなら貧乏人へ。男なら女へ。大人なら子供へ。
やるせなく煮えたぎるばかりの怒りや、身を腐らせる倦怠をいっとき忘れるために、人は弱い者を打ち、いたぶり、嘲る。
その瞬間に、人でなしに堕ちるのに」(第三話 三鬼 P320)
「鬼は、人から真実を引き出す」(第三話 三鬼 P413)
「この世に、あのときの自分よりも恐ろしいものがいるだろうか。あのような無念よりも、悔しい想いがあるだろうか。あれは自分一人のことではなく、人という生きものは、誰でもああいう想いに囚われてしまう機会があるのか。それが煩悩であり、業というものか」(第四話 おくらさま P440)
人は、宿命に翻弄される。
もうだめだと、絶望の淵に立たされる。
そんな時。
誰かに話をきいてもらう。
頷いてくれる。
それだけでいいのだ。
人生は、幸せになるためにあるのだから。
紙の本
主人公の心境の変化が....
2018/09/06 19:43
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投稿者:Buchi - この投稿者のレビュー一覧を見る
このシリーズ、おどろおどろしい怪談話というよりも人情噺なのだと、読んでいていつも思うのです。宮部みゆきの心情そのまんまなんでしょうね。
そして、最初の頃と比べておちかが元気になったと感じ、嬉しくなりました。
最後の章の「おくらさま」では、"聞き捨て"の掟を破り、語り手のお婆さんを探し出して会いに行くなど、三島屋の奥に引きこもらない積極性も見え、今後おちかがどのような心境で生きていくのか楽しみとなりました。前向きな気持ちですごしていって欲しいと切に願います。
紙の本
前作に比べて
2017/06/14 11:23
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投稿者:るう - この投稿者のレビュー一覧を見る
「泣き童子」が非常に後味が悪かったので 今回はそういう作品が無かった事に一安心。楽しい「食客ひだる神」が気に入っています。だるま屋の弁当の描写は飯テロでした。「三鬼」の語り手が最後死を選んだ事は切なくも納得させられました。妹の幸せを見届けて藩改易の責任をとり…。ちゃんとした心根の持ち主がこんな最後を迎える事になったのは辛いものです。しかし「三鬼」ってタイトルは意味深長。
紙の本
大好き!
2017/03/02 13:48
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投稿者:かおり - この投稿者のレビュー一覧を見る
宮部みゆきさんの本は、本当に面白くて大好きです☆
最初から最後までハラハラします笑笑。
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書店で買いましたが今回は、
2017/02/04 20:50
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投稿者:レビューさん - この投稿者のレビュー一覧を見る
江戸ものは大好きですが、今回は自分の過去と重なる所がありギクッとしました。
後半の物語の「ざまをみろ」の所は個人的に見事だと思いました。
次をまた期待します。
紙の本
どの作品も絶品
2017/01/14 22:23
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投稿者:たっきい - この投稿者のレビュー一覧を見る
今作は4話。どれも甲乙つけがたい珠玉の作品ばかりで、すごく良かったです。本当に宮部さんの時代小説はええです!あえて一番をつけるなら、ひだる神でしょうか。読んでいて、ひだる神が可愛く感じ、ほっこりした気分になります^ ^。最後のおくらさまは、悲しい話ではありますが、お梅のおちかを励ます言葉が感動的で、次の展開が楽しみ。やはりこのシリーズは最高です!
紙の本
挿し絵が・・・
2017/01/04 14:28
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投稿者:とりまる - この投稿者のレビュー一覧を見る
三島屋変わり百物語、第4巻。
やっぱり宮部みゆきさんの時代物は面白いですね。
ひだる神がほのぼのしててよかった。
わからない所があったのが、「三鬼」。
「鬼」はわかるのですが、「三」はどこからきたのでしょうか。
「おくらさま」では、飄々とした探偵らしき役どころの貸本屋、勘一が加わり、次回作がますます楽しみです。
ひとつ個人的に残念なのは、挿し絵が変わってしまったこと。
あんじゅうの時の挿し絵が可愛らしくてお話の内容に合っていたので、リアルになってちょっとガッカリ。
紙の本
すごい
2017/01/01 18:48
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投稿者:plastickkk - この投稿者のレビュー一覧を見る
三島屋変調百物語の4作目です。
このシリーズは、1作目の「おそろし」で、一気に心をつかまれ、いつも新作を心待ちにしている、宮部さんの小説シリーズの中でも最もお気に入りのものです。
今回も、期待通り、というか、それ以上の面白さで最後まで一気読みさせていただきました。
私は本を濫読するほうですので、どの作品も、筋書きはよく読むとどこかで読んだことがある気がするものばかりですが、書き手の力量でここまで話を面白くできるものかと、瞠目してしまう出来栄えです。
まあ、現代最高のストーリテラーの一人である宮部さんのことをくどくど書いても仕方がありませんので、
とにかく読みましょう。
566ページ一気読み間違いなしです。
紙の本
変り百物語
2016/12/20 15:43
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:いなみの - この投稿者のレビュー一覧を見る
最新作にふさわしい内容の物語が展開しています。読み終えたときにふと自分を顧みる気分になりました。
救いのない結末もありますがかすかに一条の光を差し込ませて単なる怪談とは違った何かを見せてもらった気がします、
特に第二話 食客はひだる神 では恐ろしい妖怪から同居人に似た感情の変化を辿った時になんとなく
ほっこりした気分にさせてくれる一篇でした。この一話だけでこの一冊を手にして本当に良かったと思わせる