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こんなにも
2023/02/23 16:50
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投稿者:ケロン - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんなにも自分の使命に忠実に生きられるものなのだろうか?
もしかして、ヴェリティは初めからわざとつかまっていた?と思ってしまうくらい周到で、その賢さと強さが余計に悲しい・・・。
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シスターフッドの友情を描いた小説
2019/02/18 13:45
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投稿者:おだ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「謎」の第1部。「驚愕」の第2部。そして、「慟哭」の結末。……というのがうたい文句で、どんでん返しのミステリを予想して読みました。第1部から第2部、そしてラストに向かって張られた伏線が面白く、うたい文句通りのミステリ・サスペンス的な一面も楽しめたのですが、それよりもむしろ、二人のヒロインの友情のほうが心に残る小説でした。さすがはエドガー賞を受賞したヤングアダルト小説といったところでしょうか。(ヤングアダルト小説の枠には全く収まっておらず、大人も十分楽しめるものだと思いますが)
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「謎」の第1部。「驚愕」の第2部。そして、「慟哭」の結末。 ← 帯の文句。
2017/10/31 04:44
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投稿者:かしこん - この投稿者のレビュー一覧を見る
3月末か4月には購入していたのですが、そしてずっと「早く読みたい!」と思っていたのですが、いろいろ諸事情で後回しになってしまい、図書館の予約優先物を返し終わったタイミングでやっと読み始める。
で、10ページ行く前に第一部の語り手の置かれている現状が行間から伝わり、もう泣きそうになっている(あぁ、この感覚、ジョン・ハートの『ラスト・チャイルド』にも似ている)。これはもう、やられてしまいそうな予感。
そしてその予感は、的中。
舞台は第二次世界大戦時のナチス支配下のフランス。若きイギリス特殊作戦執行部員がスパイとして捕虜となり、過酷な尋問(拷問)を受けている。親衛隊の大尉に、彼女は尋問をやめてほしければイギリスに関する情報を手記にするよう強要され、負ける。毎日綴られるその手記には、彼女の親友である女性飛行士マディの戦場での日々が、まるで小説のように書かれていた・・・という話。
彼女は何故、手記を他者の視点で物語風に書いたのか、というのがこの小説のミステリとしての核。
けれど私はこの物語自体に心打たれてしまい、ミステリであろうがなかろうがどうでもいい、という気持ちになった。いえ、ミステリを軽んじたのではないのです。ジャンル小説の枠を超越しているというか、それと意識させなかったというか。
これは、二人の少女の運命という名の<友情>の物語なのだ!
そういうキーワードに私が弱いということもあるのだけれど・・・すごいよかった!
エドガー賞YA部門受賞作とのことですが・・・またしても諸外国のYA小説の層の厚さに打ちのめされる。日本にはないジャンルだから・・・(それにあたるのがマンガなのだと思っているけれど)。児童書と一般書の間が開きすぎなんだよな~、そこを埋めるのがライトノベルになってしまっているんだろうけど、ジュブナイルと呼ばれていた時代と違って今はジャンルが固定化しすぎな気がして。
まぁ、それはともかく。
二人の少女、と書いたけれど、実際の二人の年齢は明らかにされていない。無線技士やパイロットとしての技術を身につけ、スパイ活動までするのだからそれなりの年齢かもしれないけれど、戦時下で人が足りないから能力のあるものをどんどん抜擢していったという雰囲気でもあるので、私は16歳~18歳くらいではないかと思った。手記を書かされる彼女の涙で文字がにじんでしまうのも、のちのちそれを読むことになる彼女が大泣きをしてしまうのも、その若さ故だと感じたし(つまりはそんな若い人たちが参加させられる戦争というものの悲劇と、そんな折には感情を封じ込めるべきとされる無言の圧力に対する抵抗でもあるといえる)。
イギリスの階級社会故に、もし戦争がなかったらこの二人は知り合うことがなかったのかもしれない、と思うのもまたやるせない。
勿論フィクションではありますが、作者は可能な限り歴史に忠実に描こうとしているし、イギリス人少女が主人公でも枢軸国側を絶対的悪として描いてはいない。戦争そのものがダメなんだ、レジスタンスという形でも戦争を終結させようとした人々の思いを忘れてはいけない、という気持ちがずっと根底にある。だからすらすらと読めてしまったのかもな(一応YAだから残酷描写は少し控えめ、ということもあるかもしれない)。
「飛行機を飛ばして、マディ」、そして「キスして、ハーディー!」。
不意にこの台詞を聞いたら、泣いちゃいそう。
今年もいろいろ読んできたけど・・・これは忘れられない一冊になる予感。
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真実とは?抵抗とは?
2017/10/18 20:59
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投稿者:pinpoko - この投稿者のレビュー一覧を見る
第二次大戦当時のイギリスで上流階級出身のクイーニーとユダヤ人でメカニック大好きの庶民であるマディは知り合う。クイーニーは優秀な無線技術士として、マディは民間パイロットとして航空基地でのことだった。この出会いのシーンは前半でのひとつの大きな見せ場といえるほどの手に汗握る状況だ。この二人がこれ以外の状況で知り合うなどありえないとまで思わせるほどワクワクする。
やがて戦争はふたりの友情をとんでもない任務へと駆り立てる。マディはもともとこのような任務につくはずではなかったのに。不測の事態となり、二人は別れ別れにナチス占領下のフランスの田舎に降り立つことになる。前半で語られるのはここでミスをしてナチスに逮捕されたクイーニーの告白文なのだが、前後関係が不明な部分も多くあり、読者はもどかしい思いに捉われてしまう。
やがてなんとか無事に着陸したマディの側からの覚書がその不明点を解き明かしてくれる。とにかくどうしても読み返したくなる構成が見事だと思う。
そして二人の友情(狭い飛行機内での心のふれあいや死の前に残す言葉など)は、涙なくしては読めないものだ。ひとの心を引き裂きもするし、結びつけることもするのが戦争なのだと強く思う。
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変にミステリーを期待させる帯をつけないで!
2017/05/14 07:09
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投稿者:ヨンデリーヌ - この投稿者のレビュー一覧を見る
ミステリーをにおわせてるけど、ふつうに文学作品だと思って読んだ方が、なんぼか馴染めたか?
いや、それでも、ガーリーな(実際に登場人物は乙女といっていい年ごろではあるけれど)だらだらとした語り口調、これが単にアタシの好みではなかったわけです。
せっかくの、第二部での種明かし?も、そこに至るまでに読み疲れてしまったのでした…
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第二次大戦中を舞台にしたミステリ。
時代背景を考えると、女性が主人公というのは珍しい。ただ、ミステリというよりは一般文芸に近い印象を受けた。
他の著作も邦訳されれば読んでみたい。
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タイトルと装幀だけでレジに持って行ったので、あらすじやジャンルは分からないまま読み進めた。創元推理文庫なのでミステリか?とあたりをつけるも、それにしては色んなことがあからさまなので、不思議に思いつつ。
解説まで読んで、児童書なのだと知って納得した。本書は2部に分かれており、秘密が散りばめられているが、浅く土がかけられている程度だ。分かりやすいと行っていい。
誤解しないでほしいが、児童書は好きだ。私の読書体験の原石だから。飛行中の景色ーー緑色の月の光や、心の底から邪悪な人間としての描写がないことーーあの親衛隊大尉すらーーなどは、懐かしさを覚える。子供の頃、この本を読んだらきっともっと胸の奥まで針が刺さっただろう。
今年発売の新刊に本書の登場人物が出るという。邦訳が出てほしい。楽しみに待っています。
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第二次世界大戦中、イギリス特殊作戦執行部員の女性スパイがナチスに捕虜となった。彼女はイギリスに関する情報を手記とすることを強要される。
その手記には親友であるマディのことが丁寧に綴られていた。
こういう物語で、前半は彼女の記した手記がつづく。
何故彼女は、手記を小説のような形にしたのか。
わたしは戦争の特にナチスを扱ったものは見つけたら読むほうなので、今回作品の存在を知って、読みたくて堪らなかった。
この作品では、手記の部分が大変長い。また、手記に挿まれるように捕虜としての生活を窺わせる内容も記されている。
長い手記が、全て真実なのか空想なのかわからないまま読み進めていく。そのためなんとも心許ないまま物語は進む。
長い手記のあと二部が始まり、物語の全貌が見えてくる。
そうなると彼女がどんな思いでこの手記を綴っていたのかと思い、物語の途中であるのに手記を読み返したくなる。
最後まで読むと、勿論手記のはじめから読み返してしまう。
物語が非常に丁寧に綴られており、情景が目に浮かぶようだ。そこは素晴らしい。
ただ、この作家の文章自体なのか翻訳の文章のためか、わたしには手記の部分が少し読みにくい。文章のリズムが合わないというか、単純に好みの問題だとは思う。
それでも、戦争でなければ出会うこともなかったふたりが友情を深めていく様が、とても上手く描かれていた。静かに心が通いあい、互いを大切に思いやる様子が心に沁みてくる。
手記の終わり辺りから二部にかけては展開も良く、見えていなかった部分が見えてくるため一気に読みやすくなる。
戦争中に出会ったふたりの女性の友情が、とてもあたたかいものを残す。
第二次世界大戦とナチスを扱っているが、ナチスとドイツ国民やユダヤ人という構図ではなく、ドイツと敵対するイギリス、ナチスとイギリス軍という物語であり、ナチスを扱う作戦の中ではやや珍しいかもしれない。
戦争を扱うため、それなりに残酷な描写はあるが、そこが中心ではないため、そういう描写の苦手なかたでも問題なく愉しめる。
青少年向きの作品をよく書かれているようだが、大人が読んでも十分読み応えがある。
この作品は著者の日本語訳されたはじめての作品らしい。
この作品の次にも同じ頃を舞台にした作品を書いておられるらしく、そちらも是非読んでみたい。
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CL 2017.10.8-2017.10.16
未読了のまま返却
CL 2019.2.16-2019.2.20
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ストーリーに一切触れられないタイプの小説。ちょっとでも触れたら興味を削いでしまいそう。
やけにボールペンに拘りがあるのはなぜだ。
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悲しい。でも読むのを止められなかったです。
ナチスに捕らわれたジュリーが、拷問の末に書かされるようになった手記は、親友マディの日々でした。
ジュリーとマディの、戦時下でも害われない友情と、それを読んできてからの、第二部の「キスして、ハーディ!キスして、いますぐ!」が泣けました。
戦争さえ無ければ…と思うシーンがたくさんあって、もうこんな世界にしてはならないという思いを改めて感じました。
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過酷な状況、暴力を示唆する描写が最初は読んでいてつらかったのだけれど、眼下に海岸線を臨む空からの描写が美しかったり、ジュリーやマディはじめ勇敢な女性たちの強さと愛に胸打たれ続けた小説だった。
人間がモノ以下の暴力の世界で、信念と心でつながっていた人々が立ち向かう姿がたくましかったし、そのための言葉と名前と物語だなやはり、と気づかせて小説だった。
言葉が場面ごとにリンクし共鳴しあったのも、心地よかった。
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第2次世界大戦中に、ドイツのとある場所にイギリスからのスパイの女性が囚われる。彼女は激しい拷問のうえ、暗号を伝え、さらにイギリスのことを書き記すように紙を与えられる。
彼女はそこにマディと呼ばれる女性飛行士の物語を3人称で語り始める。1週間という期限内に書くこと。その間は生きられることが保証される。しかしながら、彼女の状況は過酷であり、最後まで書き進めることができるか非常にあやうい。
彼女の手記と彼女の状況が挿入されるのが1部、そして2部と読みすすむと、なんというか、奇跡だなぁと思う。実にフィクションだ。
物語の中で彼女らが生きていたこと。戦争という非日常の世界で日常があったことを考えさせられる。
しかし、実に魅力的なヒロインらだ。
正直、1部は読みつらくなかなか読み進めにくい、けれども2部に入ると一気に読みやすくなる。そして読み終えると1部から読み返したくなる。そんな物語。
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ミステリー好きの知人に勧めてもらった本。
女性二人の友情が描かれたと聞いて、読みやすそうだと思いましたが、予想に反してかなり読みづらく、第1部は難儀しました。
1部と2部とで筆者が変わるという設定。二人の女性それぞれが書いたものとなっており、文体もかなり変わります。
第二次大戦中、ナチスドイツに対抗して戦うイギリスとフランス。
戦時下が舞台であり、イギリスの特殊部隊に属する一人の女性はナチスにとらえられ、スパイとして尋問を受けているため、直接的ではないにせよ、むごい拷問を想像させる表現が随所に見られます。
ミステリーというよりよりも戦争文学で、かなり読み進めるのがつらいストーリー。
ただ、第1部で語られる二人の少女の出会いと交流は、そうした悲惨な状況を忘れさせるような生き生きしたものになっています。
とはいえかなり冗長で、戦闘機の専門用語などが多いため、一般人には忍耐が必要。何度も途中で脱落しそうになりました。
第2部は、第1部で語られたのと同じ状況がもう一人の少女によって記され、そこから見えてくるものがあります。
そして第3部。人々の悲劇はひとえに戦争という狂った状況がもたらしたものだと、ひしひしと感じます。
その、どうにも抗いきれない大きな流れに呑まれながらも、必死に抵抗し続けた少女たちの魂の強さに胸を打たれます。
ナチスという巨大な組織の前に、なすすべもない二人。
しかし、決してそれだけではなく、文字では残されず、言葉では語れない信条を貫き、最後まで敵に屈することを良しとしなかった2人。
離れていても恋人のようにさえ見える息の合った二人は、戦時中でなければさぞいい親友になっただろうと思われますが、お互いの出自の身分が違いすぎるため、平和な世の中ではまず出会うことはなかったものと思われます。
つまり、悲惨な戦争が二人を引き合わせたというなんとも皮肉な結論。
最後の最後に、二人に課せられた秘密の任務が明るみになります。
命の危険にさらされながら、ゲシュタポや「夜の霧」の恐怖に挑む少女たちの勇敢さ。
彼女たちが非力であるがゆえに、その不屈の精神はいっそう涙を誘います。
英米のヤングアダルト小説ですが、かなり複雑でハードな内容のため、一読しただけでは理解は困難。
大人向きの作品です。
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第二次大戦中、女性パイロットのマディと女性無線技士のクイーニーは親友同士。クイーニーはスパイでもあり、マディの操縦する飛行機でフランスにもぐり込むが、ナチスに捕まり拷問をやめる代わりに、知っている情報を書くように紙とインクを渡される。残された時間の中で、クイーニーは生きているかどうかわからない親友マディについてを小説のように書き始める。この紙が無くなり、与えられた時間が過ぎればクイーニーは実験材料として収容所へ送られるであろう。
第二部は、フランスにもぐり込んだクイーニーがレジスタンスとともに活動する場面が描かれる。そして、第一部の真実が明かされる。
戦時寺中の過酷な状況の中、お互いを信頼し続けたクイーニーとマディ。第一部でさりげなく書かれていることが、実は伏線で第二部を読み進むうちに明かされていく。ひきつけられてしまうストーリー運びだった。