紙の本
もっと大河ドラマが楽しめます
2022/09/13 15:41
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投稿者:夏の雨 - この投稿者のレビュー一覧を見る
永井路子さんが1964年に初期の鎌倉時代を描いた短編集『炎環』で第52回直木賞を受賞した際、
選考委員の今日出海氏は「鎌倉時代を知る作家には、折角の知識も、それほど高く評価されなかったが、
少なくともその知識を気楽に扱えるだけ、消化し、自分のものにしていることは事実」と評価している。
鎌倉時代というのは、それほどに地味な時代だったともいえる。
2022年度のNHKの大河ドラマが「鎌倉殿の13人」と決まった時は、
源頼朝はともかくとして13人の名前すらわからないのに、
大河ドラマドラマとして成立するのか心配もしていたが、
いざ始まると、これがとても面白い。
脚本家の三谷幸喜氏の筆が冴えているのもあるし、俳優陣の巧さもあるだろう。
私の中では、ここで一気に鎌倉時代が花開いた感じがする。
そうなれば、もっとこの時代のことを知りたい。
そうはいっても、やはりこの時代は地味なのか、あまり多くの関連本が見つからない。
そういう時こそ、永井路子さんの出番である。
この『源頼朝の世界』は、まさに鎌倉時代の人間ドラマを描いた歴史エッセイだ。
いくつかの文章が「頼朝とその周辺の人びと」「逞しき東国武者」「西国の権謀家たち」という、
三つの区分けで括られている。
そのうち、「頼朝とその周辺の人びと」では、
頼朝のほか、北条政子、比企尼と阿波局。頼家と実朝、
そして大河ドラマで主人公となっている北条義時が描かれている。
永井さんは義時のことを「日本史上稀な冷静な史眼と決断力の持主であった」と評価している。
しかし、彼が大河ドラマの主人公になるとは、まさか思ってもいなかったにちがいない。
いやあ、鎌倉時代って面白い。
紙の本
これを読むことによって、「鎌倉殿の13人」をより深く理解できる
2022/12/04 17:38
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投稿者:まなしお - この投稿者のレビュー一覧を見る
2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の描かれる時代をほぼカバーしている。これを読むことによって、この時代をより深く理解できる。今回の大河ドラマに合わせて復刊されたらしいが、まったく古臭くなくとても分かりやすい。これはエッセイだが、鎌倉時代を題材にした、著者の小説も読みたくなってきた。
電子書籍
息づかい
2022/11/21 21:11
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投稿者:sas - この投稿者のレビュー一覧を見る
「鎌倉殿の十三人」を見ており、鎌倉時代をより知りたいと思い、この本を読んでみました。
登場人物の息づかいさえも分かるぐらい、その考えや時代背景が丁寧に書かれている。
鎌倉時代を知る基本書としても最高傑作と言える作品だと思います。
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鎌倉人物地図
2022/06/22 20:09
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投稿者:earosmith - この投稿者のレビュー一覧を見る
「北条政子」、「炎環」など鎌倉時代を描いてきた永井路子さんの「鎌倉人物地図」のようなもの、と後書きに書いてありました。乳母に着目した関係図、鎌倉武士たちの勢力図などが出ていてわかりやすく楽しめました。乳母に着目した実朝暗殺の黒幕、三浦一族についてなどとても興味深いです。実朝の木像や吾妻鏡の描写から「もっさりした見た目のわりに感受性が鋭いタイプ」などと書いてあり、調べてみたら確かにハンサムな木像ではありませんでした。また、後白河法皇、後鳥羽天皇と藤原定家との関係などとても興味深く、やっぱり永井路子さんは面白いです。
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鎌倉時代草創期
2022/07/14 05:52
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投稿者:七無齋 - この投稿者のレビュー一覧を見る
研究熱心な著者が語るか鎌倉武士などの数々。専門家よりも真実が浮かび上がってくるようにも思える。大河ドラマ関連の解説付き。
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改めて「炎環」を読んで感心したので、理解を深める為にも本書を読む。
この時代のことに詳しいわけではないが、永井氏の人物解釈や歴史観にはなるほどと思わせるものもがある。
本書の題名は「源頼朝の世界」となっているが、内容的には北条が主役。北条一族の権力奪取の過程はすざましいので「北条の野望」とでもした方が似つかわしい気がする。
個人的には、最後の後鳥羽と定家の章が面白かった。
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「鎌倉殿の13人」の勉強用に。
思ってたよりがっつり深く書かれていて本当に面白かった。大河ドラマを観ながら何度も読み返しそう。
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論考というほど難しくはないけど、ちょっとホネのある歴史エッセイ集。
人物別に書かれています。「頼朝とその周辺の人びと」では、源頼朝、北条政子、比企尼と阿波局、頼家と実朝、北条義時。「逞しき東国武者」の部では、三浦一族、伊豆の軍団、武蔵七党。そして「西国の権謀家たち」として、後白河法皇、源通親、後鳥羽院と藤原定家。
まず『つわものの賦』を読み、鎌倉時代の流れと永井路子さんの歴史観を知り、次に細川重男氏の『頼朝の武士団』を読んで、頼朝軍団の雰囲気とその攻防の緊張感を味わってからこの本を読んだ結果、この時代の理解が深まっていたおかげで、ラクに楽しく読めました。
ただ本書は、雑誌などに発表されたエッセイをまとめたものであり、先に書いたように人物別に書かれているので、永井さんご自身も「あとがき」に〈繋がりが深すぎて重複する部分がどうしても出てくる〉と書かれているとおり、ちょくちょくエピソードがかぶります。その部分では、ちょっとアクビが出てしまいました。
でも、読んでよかった。武蔵七党、源通親、後鳥羽院と藤原定家、の3本がかなりおもしろかったから。この人たちのことを知れる機会ってなかなかないのでは。武蔵七党はまさしく〈雑草のような名もなきつわものたち〉で、潔い分ちょっとせつなさが残るし、源通親なんてこんなにあの手この手で〈厚顔に世を押し渡った〉人がいたとは知らなかったし、藤原定家は歌人として有名だけど、後鳥羽院とのこんな確執があったとは知らなかったし。
その他の感想としては、北条政子、やっぱり好きだわと思ったのと、頼家、かわいそうだなと思ったのと、北条義時の「何もしない男」というのにちょっと笑ってしまった(いや、すごい人なんですけどね)。
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1966年から1979年にかけて「中央公論」や「歴史と人物」「歴史徳本」、「日本女性の歴史5」(暁教育図書)など雑誌や本に掲載されたものを11点を集めた。
巻末の東国武士分布図がよい。
永井氏の考える、頼朝周辺の人々の歴史エッセイというおももち。セリフもあるが小説ではなく、かといって歴史書ではなく、不思議な味わい。だが頼朝や政子、その周辺の人物が生き生きと浮かび上がる。「つわものの譜」はちょっと読みずらかったが、こちらはスッと読めた。
頼朝は、窮地になると奇妙な運強さを発揮し、それは「周囲に面倒を見られ放し、先頭に立って動くよりも、まわりがどんどんお膳立てをすすめてくれる。その中で頼朝はごく自然にふるまう」人物、としている。それは東国武士には望むべくもない、貴種、源氏の嫡流という血のおかげだという。
また乳母集団の面倒見がよかったという。分かっているだけで4人乳母がおり、とくに比企尼は頼朝の配流に夫ともどもついてきて生活の資を送り続けた。その娘婿が比企能員だ。また別の乳母の甥の三善康信は都の情報を頼朝に送り続けた。
氏の鎌倉人物地図とでもいうべき1冊とある。鎌倉時代について書きだして十数年、ようやく頼朝の色が浮かび上がってきた、という。
永井氏は鎌倉時代に対して、決して頼朝個人の力で行われたのではなく、変革の真の担い手は東国武士団であり、正確には、あの時期行われたのは東国武士団の旗揚げだ、と述べる。
「頼朝とその周辺の人々」
源頼朝、北条政子、比企尼と阿波局、頼家と実朝、北条義時
「逞しき東国武者」
三浦一族、伊豆の軍団、武蔵七党
「西国の権謀家たち」
後白河法皇、源通親、後鳥羽院と藤原定家
1979年の大河ドラマは「草燃える」。氏の「炎環」「北条政子」などの小説が元になっている。
1979.1.30初版 1979.3.5再版 図書館
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永井路子さんによる歴史エッセイ。
最初大河ドラマを見るにあたって基礎知識をと思い読み始めた「炎環」がとても面白く、それ以来永井路子さんの本を読み続けている。
歴史学者ではない、彼女の小説家としての視点の解釈が面白く、時に学者では思いつかない考えに頷くばかり。
今では定説になりつつある実朝暗殺の黒幕も、当時の識者の間では北条氏が有力視されていたが、資料を何度も読み、当時の武士の在り方、考え、風習などから乳母、乳母夫の持つ影響力を考え黒幕は三浦義村であろうと推測している。
40年以上前に書かれた本でも色褪せることなく、今なお楽しく読むことができる。
このエッセイが書かれた当時は、北条義時は三上皇を島流しにし源氏を滅ぼした張本人と悪評高く、それ以外のエピソードはほぼ何もなかった時代。
その中で永井路子さんは北条義時は日本史の中で最も興味のある人物と言っている。
歴史は繰り返される。
永井路子さんが雑誌で書かれたエッセイが、この単行本となって出版されたのは、大河ドラマ「草燃える」の放送に合わせてだったようだ。
草燃えるは永井路子さんの4つの小説やエッセイが元になっている。
今回再びこの本が復刊されたのもまた大河ドラマ鎌倉殿の13人を意識したものだろう。
永井路子さんの考える鎌倉時代東国武士団と、宮中での力関係を読んで今回のドラマを見ると、より楽しむことができると思う。
この本の中では、東国武士団の武蔵七党、そしてマキャベリスト源通親、後鳥羽院と藤原定家を楽しく読めた。
最後に源氏三代の乳母関係図は人間関係を考える上でとても参考になる。
現代に通じるところも多く、歴史は繰り返されるということを痛感した。
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NHK大河ドラマ「鎌倉殿と13人」に刺激を受け、3冊目の永井路子を手に取りました。相当「吾妻鏡」を読み込んで、この時代の人物、相関関係を研究されてる方なので、読んでて安心感があるし、何よりめちゃくちゃ面白い。歴史って楽しいな〜と、思わせてくれる。
頼朝が鎌倉幕府を作ったわけではなく、坂東武者の力によるものだということや、乳母夫の持つ力の大きさ(比企尼vs阿波局=頼家vs実朝)、何もしないように見える北条義時がだんだん力を持ち、父時政と牧の方を失脚させるまで冷酷に成長する様などドラマの教本としては最高の一冊です。
その他、梶原、比企、新田、畠山と次々失脚していく中で、粘り強く北条とやり合う三浦義村や、平清盛、木曾義仲、源義経と力を持つものを頼って生き延び、頼りにならないと知ると非常に振り捨てる後白河法皇の生き方。関係を持つ女性の力でのしあがっていく源(土御門)通親、和歌の才能でもって九条家から後鳥羽院、土御門通親から幕府へと常に主流にくっついて生きる藤原定家など、狡猾に生きる当時の公家や武将を紹介する。面白い!
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「鎌倉殿の13人」の復習ができて大満足。とくに「北条義時」の章。読めば読むほど、知れば知るほど面白い。鎌倉時代のこと、もっと早く読んで知りたかったなあ。
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「鎌倉殿の13人」のサブテキストとして読んだ。ドラマでは疑問だった点(北条が親族や同僚を滅亡させる執念)が分る内容になっている。なるほど、北条は三浦や伊東とは同等の豪族ではなく、格下の小豪族だったのか。頼朝は信頼できる家臣がいなかったのか。
ドラマではさらっと流されていた設定の背景が分かり、鎌倉時代の価値観や生き方がだいぶ理解できた。