最近読んだ小説のNo.1
2024/03/14 06:05
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投稿者:本が好き - この投稿者のレビュー一覧を見る
初めてイシグロ作品を読みました。淡々と語られる物語に愛を感じます。もはや美しいと呼ぶべきクララのまっすぐな純粋さには、心を打たれます。その感動のためだけでも読む価値があります。さらにAIとは何かという現代哲学や、人との関係を全うするとはどういうことかという永遠の倫理も掘り下げている傑作です。言語的には読みやすい作品ですので、なるべく多くの人に読んで欲しい作品です。
ありえそうな世界
2024/02/01 11:10
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投稿者:ふみちゃん - この投稿者のレビュー一覧を見る
著者のイシグロ氏がノーベル文学賞を受賞してからの第一作目、「否定的に描かれたユートピア」が描かれたディストピア小説、彼のディストピア小説というと思い出されるのが私の大好きな小説「わたしを離さないで」だが、あの小説の主人公の女性は悲しい宿命を背負った「介護人」だったが、今回のディストピア小説ではAF(アーティフィシャル・フレンド/人工親友)が主人公、人工知能AIを搭載したロボット、クララが主人公、「わたしを離さないで」でもそうであったように、その世界が作者自身が詳細に記述しているところはないのだが、読書はだんだんと遺伝子を組みかえたこどもと遺伝子を組みかえていない子供の間に断絶がおきている社会であることが明白になる、彼女が廃品置き場に捨てられている場面で物語は終焉を迎える、彼女の人生?が幸せであったことを願う
訳も秀逸で涙が出る
2023/12/17 17:37
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投稿者:ME - この投稿者のレビュー一覧を見る
オブロン端末やシヤーピ鉛筆など検索したが、この本の造語なのかと思った。クララが優しすぎて涙が出る。最悪の場合にならなくてよかったと思った。AFは子供から大人になっても一緒にいるのではないとわかり、また涙が出た。
心のきれいなひと
2023/11/19 00:22
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投稿者:海風 - この投稿者のレビュー一覧を見る
カズオ・イシグロさんの作品を読むたび、きれいな心のひとだなと、いつも思ってしまう。こんなに繊細で優しい心を持っていると、生きていくのが大変ではないかと、余計な心配をしてしまう。
でも、実際にスピーチなどを拝見すると、温厚で聡明な力強い方であり、まったく方向違いの心配をしているとわかって、ほっとする。いつまでも充実してお幸せな執筆生活を送られますように。
AFという存在と、その視点
2023/10/09 16:53
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投稿者:une femme - この投稿者のレビュー一覧を見る
主人公のクララは、現実には存在しないロボットだが、ファンタジーではなく、存在していそうな身近さを感じさせる描かれ方で、物語に引き込まれる。そしてまた、クララの視点で描かれるというのが特異であり、とても面白い。
謎が明かされるのかと読み進めるが、謎は謎のまま、はっきりと明かされることなく、物語が終わる。クララの視点ゆえなのか、読者に、様々な課題が投げかけられているようでもある。
生活に紛れている綻びのような仕方で、問題が、じわりじわりと映し出されていくような自然さと不穏さが、絶妙だと思った。
( 本書の訳者により書かれたものではない巻末の解説は、あまり参考にならず、残念に思った。)
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初めてカズオ·イシグロ作品です。
ノーベル文学賞を受賞して名前を知り、機会があれば作品を読んでみたいと思っていました。
可愛らしい作品名と可愛らしい装丁(単行本)に゙惹かれて読みたいと思っていました。文庫化されて「チャンス」と思い手に取りました。
しかし、翻訳本は少し読みづらかったです。だから、普段は日本の作家の作品ばかり読んでいて、無意識に外国文学を避けていたんだと解りました。
作品はAIロボット、クララの話。
クララはAF=人工親友として子どもの成長を手助けするロボット。
そして、ある日、ジョジーという少女の家庭に買い取られて一緒に暮らしていきます。
クララはジョジーのために色々と考えて頑張ります。
でも、何故、クララを選んだのか。とか、クララの引退のことになると、「所詮、物(ロボット)でしかないんだな」と感じられる場面があって、クララが不憫に゙思えました。
人間の都合の良いように作られたAIロボットで「もの」だから、いくら知性と感情があって素晴らしい働きをしてもそういう終わりの扱いになるのだろうと思うと、良い気持ちにはなれませんでした。
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クララ(AF=AI)は太陽信仰や人間のような感情を持とうとする。
一方人間側は、感情を良いものとは捉えずAFを人間として扱ってしまおうという始末。加えて向上処置(科学技術による能力引き上げ処置?)など、人間離れした存在を目指すようになる。
ここらへんがAIの人間化と人間のロボット化との対比として描かれていて良い。
社会問題も取り上げられているそうなので、これから調べる。科学技術の進歩による倫理観を問う作品であり、心打たれる話でもあった。
最初はカズオイシグロ作品のなかでもあんまり好きではなかったけど、考察や読み返すことで深みの出る作品なのかな。アイロニーとか物悲しさみたいなのは他の作品と同様で存分に味わえた。
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『日の名残り』、ノーベル文学賞受賞時にいつか読もうと思ったが、どうも実現しなさそう。ちょっと前の作品が文庫化、興味がある作家さんなので、まずは読んでみたい
#クララとお日さま
#カズオ・イシグロ
23/7/19出版
#読書好きな人と繋がりたい
#読書
#本好き
#読みたい本
https://amzn.to/3NX7kur
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2021年春の作品、読みたいと思いつつぐずぐずしているうちにもう文庫になった(でも文庫本でも1500円! 30年前の単行本価格…)。
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いただき本。
今年一番。出逢ってくれてありがとう。
カズオイシグロは何冊か読ませていただきましたが、ダントツに好き。
AF人工親友のクララが語る物語は、独特の言い回しがなんともよい。
そしてAFやら、向上処理を受けた子と受けなかった子やら、未来的な世界観のなかで、その詳細は決して語られる事がない。そこがとても素敵。
クララの思いは、いや、任務みたいなものなのか? は、とても一途だ。
一途さというものは、人の心を動かすものだと思うのだけど、
この作品は、一途さが微細な粒子となって空気中を漂い、私の読書時間にどんどん広がっていった感じ。
そのミストみたいなものが、私の体内に、自然な形で入り込み、憂いを与えてくれた。
本を読んで、心はこんなふうに動いていくんだなぁと、とっても心地よく感じることのできた一冊。
久々の感覚でした〜。ありがとう。
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高い人工知能を持つAFクララと病弱少女ジョジー。2人の友情だけにとどまらず、母親、父親、ボーイフレンド、ボーイフレンドの母、ボーイフレンドの母の…と、周りの様々な人間関係や出来事がクララ目線で描かれる。そして物語は思わぬ方向に…。
クララが異常なほどまでにも重要視するおひさま。陽の当たる場所で読むといっそう面白く感じると思います。でも、最後があまりにも切なすぎる。普通だったら「あんなに尽くしたのに、役に立ったのに…」と怒りの感情を持ってもおかしくないのに、役割を果たしたことに心から満足するクララ。ここが人間にはない素晴らしいところであり、人工知能が人間に追いつけないところでもあるのかな、と感じた。
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クララは終始冷静。感情的にならない。それは感情がないということか。ならば、ジョジーの友だちが集まったとき、どうして黙ってしまったのか。悔しいとか、屈辱的とか、そういう感情をもったのではなかったか。そして、クララは終始従順。逆らうとか、歯向かうとか、反論するというようなことはなかった。と思う。そういうふうにプログラミングされているのか。しかし、そこに自由な意思がないというわけではない。ジョジ―のために、お日さまにお願いするために、無理をして納屋まで行った。最後の場面でも、家族のことを一切悪く言うことはない。幸せだったという。クララにとっての幸せ?一体それは何なのだろう。それにしても、いつもながらイシグロの物語はゆっくりと落ち着いた雰囲気のなかで進んでいく。AFとは何か。向上処置とは何か。たぶんそれぞれ各一ヶ所でしかその答えが書かれていない。人工親友、遺伝子編集、それらもさりげなく登場するから、意識していなければ見逃してしまう。ところでクララはあの煙突3本のキカイが1台しかないと思っていたのか。そんなわけはないのに、その辺り幼くてかわいい。というか、経験は増え、記憶が増えていくわけだけれど、それを成長と呼んでいいのだろうか。ジョジーやリックといっしょに成長したのだろうか。最後の店長さんとの会話を読むと、やはり成長したと言っていいのだろうな。そして、この後、クララは分解され鉱物を回収した上で廃棄処分になるのか。それとも、メンテナンスをした上で、再び他の子どものところに持ち込まれるのか。このまま捨てられるとすると、なんとも気の毒な感じがするな。さて、この物語を読んでいる途中、小6の生徒に内容を話してみた。AFとは何かを想像させた。残念ながらパッと思いついた生徒はいなかった。と言っても、僕自身我慢できずにググってしまったから、偉そうには言えない。あまりお勉強が得意でない女子が一人だけタイトルをメモしていた。読んでくれるだろうか。残念ながらイシグロの名前は浸透していないようだ。昨年、通信に連載していた文学談義の中でも紹介したのだが。読んでないなあ。
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お久しぶりの カズオ・イシグロ
独特の雰囲気に会いたくて 読み始めた
何とも言えないこの雰囲気がいいなぁ
最後の店長さんとクララの場面に似たシーンをどこかで読んだような気がするのだけれど………
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何ていうか、横綱相撲すぎる小説でした…。
感想書こうにも、解説すら完璧のため、今更私ごときが何を?!という感じですが、
AIとの共生についての一つの形を、丁寧に、静かに紡いだ作品でした。
ただ解説でも触れられている通り、
倫理観や「心とは何か」という、それこそ人間が長年取り組みつつ先延ばしにしてきた命題に対して、
納得できる回答を導き出したのが、感情と学習の機能を持ったAIだった、という展開が何ともリアルだなと思いました。
人間がAIを恐れたり、感情を持ったとしても人工物であることに対して複雑な感情を抱く間に、彼らが先に人道的な課題への答えを見つけることも、この先ありそうだなと。
■
また、イシグロ作品特有の、
にこやかな建前の会話中に現れる綻び、そこから覗く穏やかでない本音(押し込めた苛立ち、無意識の差別意識など)のスケッチが相変わらず巧みで、「交流会」の様子や「向上処置」絡みの会話には大変ザワザワしました。
(例えば著者の「夜想曲集」は、その人間描写のエグみを個人的に強く感じました)
AIであるクララは、不安や疑問、不快感を感じることがあっても、意地悪な気持ちや嫉妬心=他者への敵意や過剰な自意識、は薄いんですよね(読み落としていたらすみません)。
不穏な展開であってもページをめくるのが嫌にならないのは、語り手のクララが、人間の純粋さや善意で成り立っている存在だから、というのも大きいと感じます。
逆に言えば、人が完全には克服できないそういった業(ごう)を取り除いた存在が、技術革新次第ではできてしまうのかも…という可能性を示された気もします。それが良い悪いはまた別として。
世間的にはヒューマニストとして浸透している手塚治虫の作品にも、時々、人間へのブラックでシニカルな視点が見られるように、
イシグロ氏も多分、常人以上に、人間に対してのやるせなさを感じてきたと思うんです。
ただ、現実を冷静に見つめながら、
「人間はそれだけじゃないはず」というのを、筆の力で証明する根気強さがあるからこそ、多くの読者の心を揺さぶるのだと思いました。
本作の「完成まで6年」という歳月は、
科学の発展の明暗にとことん向き合いながら、
批評的な目線を貫きつつも、陽だまりのような結末に辿り着くために必要だったんだなと思います。
■
映画化ってあったけど、私はワイティティ監督=マイティ・ソーのイメージ強いからどんな仕上がりになるのか楽しみ!
あの吸血鬼映画を撮影した方がマーベル、アカデミー賞候補、ノーベル賞作家作品、SW…とすごい躍進ぷりだと思うけれど、どんなテーマでも陽気さやユーモアを排除しない作風が人気なんだろうか。
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第4部から急展開すぎて、そこから2日で読了。面白かった!と簡単に言いたくない重さを、読み終わった直後のいまは感じる。
詳細が謎のままの設定もあるし、第3部くらいまでは割と静かに物語が進んでいくから先が不安になるけど、第4部以降が怒涛で読むのを止められなかった。
そうなってほしくない、と思ってたけど、そうなってしまうんだろうな……という結末。クララに感情移入しすぎてたからつらかった。でも読んで良かった。「わたしを離さないで」が好きな人なら受け入れやすいと思う。