mayumiさんのレビュー一覧
投稿者:mayumi
紙の本涼宮ハルヒの驚愕 初回限定版 (角川スニーカー文庫) 2巻セット
2011/06/13 21:34
何事にも、時期や旬というもは存在する。
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
4年ぶりのシリーズの続き。
「分裂」の続きってことなので、すっかり忘れている分裂を読み返したあと、読む。
やっぱり、物事には時期というか旬というか、とにかく<時間>というものの後押しが不可欠なのだろう、というのを痛感した。
そう、残念ながらそういうものの恩恵がすり抜けてしまっている。
分裂が出た直後にこれを読んだら、それはそれで感動なり、思うところや考えることがあっただろう。
しかしながら、4年は全てを形骸化してしまうだけの時間だったようだ。
にしても、周りがどうであれ超然としている、全く関知してないというのが、涼宮ハルヒの魅力だったように思うのだが、今回のようになってしまって一体、この先どこに着地点を求めて行くのだろう。
ハルヒが<自覚>することは、キョンやSOS団の仲間との別れを示唆しているのではないかと、つい考えてしまうのであった。
2011/04/20 21:20
これも女子の夢の一つなのだと思う
5人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
中村春菊のスピンオフの小説化の4作目。
漫画家吉野と、編集者羽鳥とのすったもんだ。
相変わらず漫画描く以外の生活能力がない吉野を、羽鳥が面倒みるって感じ。
うむ。
これって、もしかして女子の夢なのだろうか。
特出した才能はあっても生活能力は皆無。でも、パートナーに熱烈に愛されているって。
いや、女子の呪いなのかもしれん。
幼少時からなんだかんだと「女の子なんだから」と家庭能力を求められ、他にできることがあっても、家事スキルが低いと「だめな子」扱いされる、女の子たち。
女の子であれば、ただの「だめな子」なのに男である故に、そこが不問になっている。
やっぱり、BLは、たとえそれがマイナス方向であっても「女の子の夢」なんだろう。
2011/05/01 21:13
事件があって、その方向性を決めているのは実はマスコミってことなのなのかもしれない。でもって、犯人は明らかになってるわけじゃありません。残念。
4人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
世田谷一家殺人事件や、井の頭公園バラバラ殺人事件など、30の未解決事件の、コラムというべきものかな。
事件一つに対して10ページぐらいなので、深く切り込むというものではないし、実際に真犯人を断定したり糾弾しているものでもない。なんで、ちょっとタイトルでだまされたかなと、思います。
結局、事件が起きると同時に、マスコミが事件の方向性とか色とかを操作してるんだなと感じた。
だからこそ、こういうあの当時はこういう方向性でしか見てなかったけど、今だとこう見ることもできる、って言えるのかもしれない。とういうか、この本はある意味、マスコミの謝罪なのかもしれない。
厚労省キャリアの村木厚子さんの手記が圧巻だった。
冤罪で逮捕され、検察に屈することなく自分で道をきりひらいていった彼女のバイタリティには感服した。
すごい人です。でもって、そんな彼女が厚労省の女性キャリアとして働いてることを、同じ日本人として女性として誇りに感じた。
紙の本すべてのものをひとつの夜が待つ 長編ゴシック・ロマンス
2008/11/09 21:35
ステレオと紙一重のゴシックロマンス
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
孤島の館に集められた資産家の血統の10人。10日の間に、館に隠された巨大なダイヤを見つけたものが巨額の資産を相続できるという。そして、惨劇がはじまる。
ジャンルとしては「ゴシック・ロマンス」なんだそうだ。
うーん。何をしてゴシックロマンスで、何を本格ミステリーというのか? 常々やたら上から目線な「本格ミステリー」っていうものに疑問をもっているので、これは本格ミステリーじゃなくてゴシックロマンスなんですよといわれても、首を傾げてしまうのである。
ともあれ、大好きな建築ものなので期待大で読んだ。
篠田真由美氏の「建築探偵シリーズ」のいいところは、建物がミステリーのために存在しているのではないところだと思っている。建物は、施主が住むために建てられ、生活し、時間を育む。そして不幸に事件の現場になってしまった。トリックのために無理矢理建てられましたっていう建物は、その建物がかわいそうじゃないかと、そういうミステリーを読むとなんか怒りがいつもわいてくるのだ。
が、しかし…。
今回の館はかわいそうな館でしたね。
つか、なんか構造が面倒なのに、こういうのに限って見取り図がついていない。うーーーん。ミステリーで館の平面図を出す基準ってどこにあるんだろう?
そして、登場人物も…。
とてもステレオです。ま、ここはあえて、そうしているのだと思いたい。
そう、この作品は、あえてステレオな設定の中で、どれだけ篠田真由美らしさが出ているかという部分を楽しむ小説なのだと思います。
にしても、建築探偵シリーズもそうだけど、BLっぽいのを出すのはやめたほうがよくないかなと思いますよ。ああ、またか、ってどうしても思ってしまうから。でもって、せっかくいい文章、いい表現してても、それで半減になっちゃうもの。
自分で門戸をわざわざ狭めることはないと思うんだけどなぁ。
紙の本黙の部屋
2008/07/29 20:56
魅せられるということ
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
幻の画家、石田黙をめぐるミステリー。
美術雑誌の編集長である主人公は、ある偶然から石田黙の絵を手に入れる。黒い、不思議な石田黙の絵に魅せられ、集めていく過程で、彼は謎の事件に巻き込まれていく。
絵画のオークションや、美術界の話などが珍しいのと、本の中に多数入っている石田黙の絵画が強烈なので、妙に納得させられるが、推理小説のトリックとしてはなんだかなぁという感じ。
が、これはトリックをめでる作品ではない。
というより、ストーリーさえどうでもいいように思えてくる。
そう、石田黙の絵にはそんなパワーがあるのだ。
本書は、石田黙に魅せられた折原一が、石田黙の絵を表にだすため、それだけのために書かれた、そういっても過言ではない気がする。
それは、決して悪い意味ではない。
偉大な芸術の前に、人はそれをまた別の形に昇華しようとするものだ。
ピアニスト加古隆は、パウロ・クレーの絵に感銘をうけ「いにしえの響き-パウル・クレーの絵のように」というCDを出している。
折原一は小説家だから、小説を書いた。多分、それだけのことなのだろう。
物語は、暗い情念を表現しているような石田黙の絵にふさわしいような展開ではあるが、奥底には石田黙の絵の中の「白」のような清らかさがある。
そして、それが折原一の石田黙への憧憬なのだろう。
紙の本ビブリア古書堂の事件手帖 1−1 栞子さんと奇妙な客人たち
2011/12/22 20:54
不思議な不安定さに充ちた物語
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
鎌倉の古書店「ビブリア古書堂」を舞台にした、古書をめぐるミステリー。
本の雑誌が選ぶ文庫ベスト10で1位になった等、ラノベというジャンルを超えて2011年を代表するヒット作になった作品。
で、私が感じたのは<不安定さ>だった。
妙なめぐり合わせで古書堂で働くことになった主人公に、骨折で入院中の浮世離れした美しい店主。ライトノベルとしていかにもありそうなキャラなのに、扱ってるのは古書で、本にまつわる因縁を店主が安楽椅子探偵よろしくひもといていく。
それは物語として、とても面白かったのだけど、なんか違和感がぬぐえない。
で、気づいた。
部類の本好きとして描かれている店主、栞子さんなんだが、彼女は本を語る時、その出版の経緯を語っても中身は語らない。いや、文章をまるっと覚えていたりするところがあったりするので、中身を語ってないわけじゃない。がそれは本を語ることとは違うだろうと思うのだ。
それを読んで自分はどう感じたか、どこに共感したか、そういうことが本を語ることじゃないのだろうか。
って、そこに落とし穴があることに気づく。
確かに栞子さんは「本」を語っていて、作品を語ってはいないのだ。
そういうところが<不安定>の所以なのかもしれない。
と、古書としてやりとりされると、作者に印税がはいらないことに対する作者のひそかなアンチテーゼであるのかもしれないと思った。
うん。
自分を骨折させた相手に対しての栞子さんの潔さというか、ある種の残酷さを見て、そう思った。
紙の本黒影の館
2011/01/13 21:03
シリーズはちゃんと結末に向かっていっています。そういう意味で安心の1冊
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
建築探偵桜井京介シリーズ。
これと、次の巻でシリーズが終わるそうな。
ってことで、神代が語る京介との出会い。
北海道の孤立した町というか村。山にある<お館>がそこを支配していて、一種の治外法権状態にある。そこで殺人の容疑をかけられた神代は、<お館>に招かれることになる。
10月の北海道で館は孤島状態にあって、その中で殺人未遂がおこる。また、当主の妻は謎の自死をしている。
そして、神代は当主の息子であるアレクセイに出会う。
ゴシックな洋館に美少年に可愛そうな境遇、と三題話のようにそろってますよ。
ミステリーというより、ゴシックな雰囲気をめでる作品かと。
と、京介失踪後、深春と蒼にせがまれて神代が語るという話なので、いわゆる「信用のできない語り手」であるところがミソかと。
とはいえ、神代の軸のぶれない公平さにはちょっと感動しました。
うん、神代は常にだれに対しても公平で公正だよな。
自分では好き嫌いが激しいとか、江戸っ子気質とか言ってるけど、相手の<命>の前には誰彼の区別がない。
だからこそ、京介は彼の庇護を受けていたのだろうなと感じた。
ああ、出会いの物語のようで、実は京介が神代を選んだ所以の物語だったのかもしれない。
紙の本楽譜を読むチカラ
2012/01/29 20:33
結局のところ音楽は感性で、その感性の<言語化>に挑んでいる本
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
表紙には「音楽を学び、教える人の必読書! 自信を持って演奏したいのですが、どうしたらいいのかさっぱりわかりません! 自分の才能を最大限に発揮させるためには、どうしたらよいのでしょうか?」とあります。
ま、ちょっとタイトルに難ありかも。
一般的な読譜方法を想像すると、相当肩すかしをくらうと思う。
ま、結局のところ大切なのは<感性>であると。
とはいえ、この本のすごいところはそういう<感性>を言語化してるところだと思う。
漠然と、まぁその方が素敵だから、音楽的だから、やってるクレッシェンドとか、リタルタンドとかに、明確な意図を与え、その意味を言語化しているのだからすごい。
確かに、音楽に携わるものへの必読書であるかもしれない。
…やっぱりタイトルと表紙で損してる気がするんだけどなぁ。
紙の本雪の断章
2009/04/21 20:53
「少女」という絶対存在を描く
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
佐々木丸美のデビュー作。
孤児の飛鳥は、迷子になり親切な青年に助けられる。その後、養女にいった先で虐げられ、それに耐えきれず逃げ出す。そんな飛鳥に救いに手を差し伸べたのは、くだんの青年であった。
飛鳥は、青年滝杷祐也のもとで成長していく。
しかし、その平安を砕くような殺人事件が起こり…。
1975年の作品なので、古臭さはいなめない。今の価値観では、養護施設にいる子供が、お手伝いというか、労働力として養女にもらわれていくというのは無理がある設定なんじゃないかと思ってしまう。同じように、成人男性が7歳の女の子の里親として認められるというのも無理だろうと、思う。
しかしながら、ここにはそういう設定の無茶を覆す感性が確かにある。
一貫して飛鳥の視点で語られる物語は、思春期特有の自意識や高慢さに満ちている。それでも彼女の、率直さやひたむきさには偽りがなく、きっとそれがこの物語の骨格なのだろうと感じた。
とはいえ、私が思ったのはこれが「運命の女・ファムファタール」の物語だということだ。
飛鳥はその「少女」という独自性で、二人の男の運命を狂わせる。
そう、飛鳥によって、祐也も史郎も運命を狂わされたのだ。そしてファムファタールが往々にしてそうであるように、彼女自身は無邪気にそこにいる。
「少女」という存在は、絶対であり、それはとても危険なのだ。
きっと、これはそういう物語なんだと、思う。
紙の本わたしを離さないで
2008/07/14 21:05
教育のもつ、恐怖
4人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
特殊な環境で育った特殊な役割を負った子供たちの話。
解説にもありませすが、へんにストーリーを聞くと、面白さが半減どころか台無しです。
カズオ・イシグロは「日の名残り」でも思ったんだが、他愛のないところに潜む狂気を淡々と描いている。
うん、今思い返すと「日の名残り」は結構怖い話なのだ。
で、これもなんか薄ら怖い話。
淡々としてるのが、怖い。
特殊な生まれで、特殊な環境で育ったとしても、どうして彼女たちは打破するという方向にいかないのだろう。
…これが、教育の力なのだろうか。
自分の存在の意味を疑うこともせず、運命を受け入れることだけで生きている子供たち。そういう存在に作り上げたのは、あの閉鎖された学園なのだろう。
これは、生まれと環境にプラスされ「教育」という部分があるからこその怖さであり、警鐘なのだろうか。
にしても、やっぱ、イシグロは上手いね。
村上春樹より、先にノーベル賞とっちゃうんだろう。
…と、清水玲子の「輝夜姫」が、がぜん読みたくなったですよ。
うむ。
イシグロも、あれぐらいがっつり書き込んで欲しかったなぁ。
って、書いちゃうとSFになって、それはそれで方向性が違うんだろうけど。
カテゴリーっていうのは、時に不自由ですね。
紙の本おやすみラフマニノフ
2012/02/11 21:17
音楽家の様々な業が、見え隠れする作品
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ピアニスト岬氏が活躍する2作目。
今回は、氏がお勤めの音楽大学が舞台ですよ。
今回の語り部は、ヴァイオリン専攻の4年生の晶(あきら@男の子)
でも、ヴァイオリンがメインじゃなくて、オーケストラがメインなので、前作ほど???なところはない、かな。
大学の所有するストラディバリウスのチェロが消えるという事件を発端に、演奏会を邪魔するような事件がおきる。体面を気にする(?)大学は、警察に届けることなく事件の解決を画策するのだが…。
で、すんなり岬氏が登場かと思えば、さにあらず。
岬氏は、大学じゃまだ下っ端ですからねぇww
晶くんのナイーブで、細やかな感情がとてもいい。
ま、それゆえに、ああそういうことですか、ってわかってしまうんだけどね。
と、前作でこれ以上はないだろうというぐらい格好いい設定のテンコ盛りだった岬氏ですが、まだありました。
しかし、ここまで岬氏に<業>を背負わせて、作者はどこを目指すんでしょうね。
あと、結構黒いです。
前作でもちょっと思ったけど、今回はもうちょっとはっきりと岬氏の黒い部分がでてきている。
もっとも、「或る水準を超えると人間性と音楽性は別物になる」と示唆されてる感じはあるんですけどね。
…別物であるから、別物になってしまうからこそ、音楽家はあがき続けるんじゃないのかな。自己の善良性を求め続けることが、音楽への希求になるんじゃないのかな…。
にしても、相変わらずカードを全部広げちゃってます。
ミステリー作家として、こんなに豪胆でいいんでしょうかね。ちょっと、心配ww
2008/12/23 17:43
アニメに忠実なノベライズです
2人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
「機動戦士ガンダム00」のノベライズ。
ファーストシーズン、トリニティ兄妹と対立するところから最後まで。
このシリーズ、とてもアニメに忠実なので、やっぱりここでも忠実です。
ま、それを残念と取るか、どうかは個人の好みなんでしょう。
にしても、小説っていうのは自分で時間を動かせるからいいですね。アニメだと勝手に時間が流れていくけど、小説だとここはじっくり読みたいという部分はゆっくりできるもの。
という、小説の楽しみを再認識させてもらえる1冊。
…でもアニメ全部終わってから読んだほうがよかったかも。
特にセカンドシーズンが始まってこの先を知ってるから、どうしてもテンションがさがる。うん、残念ながら続きを知っててもテンションがあがるというものではないよ。
も、メディアミックスが常識になってる感があるけど、やればよいというもんじゃなくなってると思うです。はい。
紙の本ドールズ最終章夜の誘い
2016/11/06 20:31
シリーズの大団円、外連味がすんごいです
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
ドールズシリーズの最終作。
前作で「箱神」を追って、死んだ聖夜のお葬式から始まりますよ。
で、壮大な冒険になっていくのだが…。
ちょっと駆け足だったかな。でも、様々なことへの膨大な知識に圧倒される。
が、それを生かすために(?)ちょっとご都合かねっという展開が…。
まぁいいんだけど。
でも、やばげな展開になったからこそ、怜ちゃんと目吉の混在っていうのがなくなっていて、それが面白いのに残念だったかも。まあ、そこで怜ちゃんがどうのってなると、彼女のトラウマになりそうだから、むしろなくてよかったんだろうけど。
なんか、ホラーで始まったシリーズだったけど、最後はほんわか暖かい光に満ちていた。
人は望むかぎり、光に手を伸ばそうとする限り、前にむいて進んでいけるという、多分そういうこと。
智内兄助氏の表紙が今回も素敵でした。
(そもそも表紙買いだったしね)
2008/12/04 21:12
食べることのポジティブさを伝える、最強の料理コミック
24人中、23人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
弁護士のシロさんと、美容師のケンジの、美味しい日常を描く2巻。
相変わらず、やたら美味そうです。しかも、ヘルシーメニュー。しかも、同時に数品作るので、レシピと同時に段取りも完璧。
ある意味、最強の料理本ww
にしても、ホント、食べることは大事で、ポジティブな行為なのだとしみじみ思う。
ゲイカップルという、ハードな(?)関係でありながら二人の空気は常に優しい。それは、シロさんがケンジに食べさせるためにせっせとやりくりしながら美味しいものをつくり、ケンジはそれをこの上もない幸せな顔で食べるからだ。
食べさせること、食べること、そんな本能の基本の快楽と安心感が、この中にはつまっている。
そして、ただ作って食べてるだけのように思わせておきながら、現実という小さな石を投じてくる、よしながふみ。
シロさんの父親が病気になった話など、ひょいと胸をついてくる。
思わず自分を省みて、考えてしまう。
現実は、いつでもハードなのだ。
それにしても、最初に作ったメニューの気合の入り方を理解して、それをアニバーサリーメニューにリクエストするケンジは、いいヤツである。
でもって、皆、パートナーにそういう気遣いしてやってくれよと、思うのである。
紙の本さらば脳ブーム
2010/12/15 20:52
ありがとう、ありがとう、川島教授
16人中、14人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
個人的に、川島教授にはたいへん感謝している。
旦那が脳出血で倒れたあと、リハビリで使ったのが「脳を鍛える大人のドリル」だった。おかげさまで、完全失語で、一生車椅子と言われた旦那は、今自分で歩き、日常会話も支障なくできるようになった。
この本は、川島教授が「脳を鍛える大人のドリル」を出版するにいたった経過と、それに続くDSソフトの発売、そして起こった脳ブームのなかで、教授が感じたこと考えたことが赤裸々に書かれている。
とはいえ、とってもあっさり書かれているので、むしろそのあたりの教授の自制心の高さに感動するのであった。
研究者としての矜持と、プライド。
そして、全く土俵の違うところからの攻撃や、マスコミの歪曲に対しても、それはそれで仕方ないけど、と現象を受け入れつつ言うべきことは言っている強さ。
お茶目で、無邪気な川島教授の姿が、垣間見えて素敵でした。
実際、脳トレをしたことによって、運動機能が改善された症例もあったそうだ。実験データーとしてとってないからか、教授は脳トレで活気がでてきたからであろうと書いておられるが、脳トレで脳の血流量が増えることでの改善だと私は思います。
と、最初の医療現場の冷淡さも書かれていたが…。
ドリルのおかげで、びっくりするぐらい読む力がついた旦那で、担当の医師がびっくりして「なにかやってるか」と聞くので、これをやってるとドリルを見せた。
が、その後病院としてそれを取り入れた話はきかない。
まぁ、病院としては臨床実証ができてないことは取り入れられないのだろう。それは理解する。
なので、結局のところ自分を守るのは、自分自身なのである。自分の日頃の地道な学習意欲が、自分を助けるのだなぁと、改めて感じたのであった。
にしても、DSでの利益を受け取らないとしたとき、家族を含めて色々いわれたそうだ。
あのニュースを見たとき、家族の言い分があるだろうと思ったら、やっぱりそうだったんですねww