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フェア 開催終了 ジュンク堂書店  難波店

開催日時:2021年08月18日(水) 13:10~2021年09月19日(日) 21:00

アナキストはテロリストではない!森元斎+栗原康ジョイントフェア

現代日本が誇るアナキスト二人、森元斎さんと栗原康さんの新刊が、矢継ぎ早に出ました。
難波店で何度もトークイベントに登壇して下さったお二人と親しくさせて頂いている私は、すぐに『書標』用に2冊の書評を書きました。
お二人にお送りしたら、口をそろえて、二人の本を一緒に書いていただけて嬉しい、と喜んでくださいました。
短い書評ですが、冒頭は、「森元斎と栗原康は、アナキストである。アナキストはテロリストではない」
コロナ禍下、アナキズムの存在感・可能性は、とても大きなものとなっています。お二人の文章と生きざまが明らかにしているように、アナキズムの神髄は、相互扶助にあるからです。
お二人の本を中心に、アナキズムがわかる本を集めて、「店長お薦め本」コーナーでミニフェアを開催致します。(店長 福嶋)

『もう革命しかないもんね』 森元斎著 晶文社 一八七〇円
『サボる哲学 労働の未来から逃散せよ』栗原康著 NHK出版新書 一〇二三円
森元斎と栗原康は、アナキストである。
アナキストは、テロリストではない。「無政府主義者」という訳語が大きな誤解を生んでいるようだ。アナキストとはすべての支配を逃れる「無支配主義者」、いや「主義」はダメだ。人は「主義」にもすぐに支配されてしまう。
 森元斎が書き綴るのは極貧の中の家探し、食料確保を図る農作業、料理、旅行、仕事、果ては銭湯でなけなしの現金を盗まれて泣き面に蜂、それでも音楽を奏で映画や本を堪能し、子育てに励む日常である。いわゆる「革命」がゴールでは、決してない。「革命」後に続く生活を、「カネの支配」でおかしくなってしまったそれから立て直すことこそ、革命なのだ。ビバ、DIY!
栗原康は、カネに支配されるから「労働」に支配され資本に支配されるのだと、あらゆる支配を拒絶し、革命の中動態、無支配(アナーキー)の自然法爾を説く。新型コロナウイルス感染の後遺症を、世話をしていた野良猫に癒されるくだりが、最高!
そう、二人は、困った時に必ず助けてくれる誰かに出会う。きっと、どこかで誰かを助けている。互いに、決して見返りは求めず。無支配(アナーキー)=相互扶助、それがアナキストの革命が実現する世界だ。
時にダラダラと、時に悪戦苦闘する二人の生活を面白く読み進みながら、レヴィ・ストロース、ホワイトヘッドの哲学やゴダールの映画に、あるいは海賊や奴隷の歴史、ラッダイト運動に、もちろん大杉栄やグレーバー、遂には親鸞にも遭遇できる、とってもオトクな二冊。(フ)
(『書標』2021年8月号より)

2021/08/18 掲載

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