近すぎるからわからない？改めて「家族」について考えさせられる小説

京橋家のモットーは『何ごともつつみかくさず』。父、母、姉、弟。毎日食卓で全員が包み隠さず自分の話をしているけれど、本当はみんながみんな、それぞれに秘密を抱えています。京橋家4人それぞれの本当の生活が見えたとき、「家族」の本当の幸せとは何なのか、そんなことを深く考えさせられる小説です。

自分に娘ができても大好きだった自分の母のことを忘れられず、いつまでも「母」になれない女性。母に好かれたくて健気に尽くす娘。娘が母に無償の愛を求める姿に、きっと胸を打たれるはず。「母性」とは何なのかを問い、改めて家族に注ぐ「愛情」について考えさせられる衝撃作です。

どうしても学校に足が向かなくなった中学生のまいが、「西の魔女」と呼ぶおばあちゃんのもとでひと月あまりを過ごすことに。「魔女修行」として、祖母からたくさんのことを教わっていきます。ひと月で少女は祖母の温かさ、喜び、希望、幸せを知っていくのです。家族を通してつながる思いや愛情に、心が温まり、涙が止まらなくなる感動の物語です。

高校生の青年・由紀夫には父親が4人います。ギャンブル好きに女好き、博学卓職、スポーツ万能。誰が本当の父親なのかはどうでもいいのです。それぞれのお父さんと由紀夫のかけ合いがおもしろく、思わずくすりとしてしまいます。読み終えたときにはすべての行動が一つにつながり、あなたも由紀夫みたいな家族に憧れていることでしょう。

母は家出中、父は自殺未遂の経験があって、何事にも真剣にならない兄、そして娘の佐和子。彼女を主人公に、バラバラな家族4人がそれぞれに切なさを抱きながら、不幸でもつらくても、それでもつながりをもちながら再生していく。そんな家族の姿を描いた小説です。読後、「家族」の大切さと絆を再確認することができます。