つながった！パズルがはまる爽快感・疾走感を味わえる群像劇　

泥棒の男、宗教に傾倒する青年、不倫する女、女性画家、無職の男。本書はこの5人の視点から描かれています。一見なんの関係もない5人。しかし個人の物語が収束するとき、話はつながり、一枚のだまし絵のごとく物語が浮かびあがってきます。そのさまは爽快で、思わず「なるほど」と唸ってしまうほどです。

妻が殺されて復讐に燃える男、自殺させる殺し屋、上司に管理される青年殺し屋。話は主にこの三つの視点から展開されます。徐々につながっていく伏線。人が死に、男の復讐譚でもある物語ですが、鮮やかな構成と洒脱な会話が、読後に爽やかな読み味を残してくれます。

少年少女達の五つの物語。その裏にいるのは少年のような少女のような、いでだちをした「ブギーポップ」。世界の危機に現れる「ブギーポップ」が現れたということは・・・。複数の高校生の視点が合わさって、はじめて浮き彫りになる真実。群像劇ならではの爽快感に加え、切なさと救いのある読後が特徴的です。

舞台は、禁酒法が定められている1930年代アメリカ。その状況下で、飲むと「不老不死」になれる酒が街に出回ります。酒をめぐり、裏社会の組織や泥棒達がくり広げるバカ騒ぎ。多数の登場人物が入り乱れ、収束していくさまは爽快で、映画のような読み味です。

下剤を盛られた子役、自分たちの推理力を競う大学生、1億円の契約書、待ち合わせた場所へたどり着けない老人、などなど。さまざまな人とエピソードがからまり合い、話は転がっていきます。そのさまは、表題でもあるドミノのよう。終始コミカルに展開していく本書は、笑えて爽快感のある群像劇です。