ブックキュレーターhonto編集員
「言葉」そのものを、じっくりと味わいたくなる小説
すべての小説は「言葉」の組み合わせでできています。どんなに壮大な物語も、分解していけば一つひとつの言葉になるのです。そんなロマンあふれる言葉そのものをモチーフにした小説や、言葉の新しい組み合わせに挑んでいる小説を紹介します。たまには起承転結ではないところで、小説の魅力を堪能してみてください。
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流跡
朝吹 真理子(著)
この小説が物語らしい物語を持たず、主人公はおろか人称すら定まらないのは、ずばり「文字」の記憶をたどり綴ったものだからです。川の水が流れ続けているように、文字もまた古来より流れ続けてきたもの。難しいことは何も考えずに言葉の流れに身をまかせて、美しい文体をなぞり、文字のロマンに思いを馳せながら読んでみてください。
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オブ・ザ・ベースボール
円城 塔(著)
理屈っぽさと哲学とユーモアに満ちた、独特の文章がたまらない円城塔の初期二編が収録された一冊。表題作の舞台となるのは、人が降ることで有名な町「ファウルズ」。その町ではレスキュー隊が降ってきた人間をバットで打ち返す・・・という、どうしようもなくナンセンスな物語ですが、文体のリズムにハマったら最後。何度も読み返したくなるはずです。
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紙の民
サルバドール・プラセンシア(著) , 藤井 光(訳)
土星戦争を繰り広げる個性的な人々の物語が綴られた小説。人称が次々に入れ替わるこの物語のユニークな点は、「どう言葉を使っているか」ではなく「どう言葉を使わないか」です。人称によって言葉は真っ黒に塗りつぶされ、白紙にされ、しだいに言葉自体が失われていきます。奇抜なたくらみが物語にマッチした、本好き必読の一冊です。
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「性」と「生」にまつわる5つの物語が収録された短編集。そのなかの一編「mundus」では、正体不明の「それ」と過ごした子どもの一生が語られています。文頭に配置されたスラッシュ記号によって場面は分けられ、単純な文章からも奥深さを感じることができます。さまざまな意味を含むことができる、「言葉の力」を再発見できます。
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