心が疲れたときの特効薬。弱い自分と向き合う主人公から勇気をもらえる本

廃業した雑貨店に忍び込んだ強盗犯3人が、過去と現在を行き来する手紙を通して、人の悩みを解決する話です。人の数だけある人生。オリンピックと恋人のどちらをとるかなど、相談は人生を左右する重大なことばかりです。悩みつつ相談に答える強盗犯たちから、相談者だけでなく読者もパワーをもらえます。

のほほんと江戸で暮らしていた19歳の一路。父親の急逝に伴って役目を相続し、郷里の藩の参勤交代の手配役となり、知識も人脈もないなか奮闘します。殿様を無事に江戸まで届けなければお家も危ない状況のもと、若輩ながら藩の責務を一身に背負うことになった彼。ピンチを切り抜ける姿にハラハラしつつも、胸が熱くなります。

旅の途中で霧の町へと迷い込んだ小学６年生のリナ。あてもない少女をピコットばあさんは下宿させてくれますが、『働かざる者食うべからず』と、下宿代の代わりにリナに働くように命じます。見知らぬ町で1人、心細さを感じつつも、初めて働くことを経験するリナ。仕事にくじけた心にリナの奮闘と成長の様子が心に響きます。

『精霊の守り人』シリーズの２冊目。女用心棒のバルサが、人殺しの娘である自分を連れて逃げてくれた亡き養父 ジグロの汚名を晴らそうと、故郷で奮闘する話です。その過程で、ジグロの苦労と口に出せなかった思いを知ることになります。過去の清算は、ときに痛みを伴います。けれどそれでも前を向くバルサに、読者は心動かされます。

敗戦まもない時代に、タンカーでイランから命がけで石油を日本へ輸送しようとした人がいました。石油メジャーを敵に回して戦うその男は、いつしか敵であるはずの側に誰よりも認められるようになります。日本人の誇りをもって戦う男の半生と会社の隆盛に、疲れも忘れてのめり込めます。