手法の新しさに驚かされる！2010年代の斬新な芥川賞作品

横書きの平仮名で書かれていて、固有名詞が一切出てこないという実験作。書き方自体が、とても新しいです。小学校入学時に二つの学校の選択肢があったという、主人公の追想から物語が始まります。作者は当時75歳で、史上最高齢の受賞者となったことも話題になりました。第148回(2013年)受賞。

父の性犯罪、両親の離婚や転校で暗い青春時代を送り、現在は日雇い労働者の主人公。劣等感とやり場のない怒りから、人間関係のトラブルばかり起こしています。作者自身の体験である平成の私小説としての新しさを感じます。第144回（2010年）受賞作。

義母を観察する幼稚園児が主人公。義母に対して「あなた」と呼びかける2人称で書かれています。主人公が幼児であることも珍しいですが、2人称自体あまり使われないので、視点が珍しい作品です。無邪気な年頃に似合わない主人公の冷静さが、独特の雰囲気と不気味さを醸し出しています。第149回(2013年)受賞作。

SFや前衛文学の混ざったような、独特の奇妙な論理展開が、少しだけ難解な印象もあります。階段を登り続けているはずなのに、読み進めて一周すると元の場所に戻っている「だまし絵」のような構成が、まさに実験的で目新しい作品です！第146回(2012年)芥川賞作。

お笑い芸人の又吉直樹が受賞したことで、話題に。売れない芸人の主人公と、エキセントリックで人情味あふれる先輩芸人の物語です。「純文学作品の主人公が芸人である」という、登場人物の属性に新しさを感じます。第153回(2015年)芥川賞作品。