胸をじわっと熱くする！2010年代の直木賞作品

新卒の就職活動をめぐり、自己と向き合うことになる大学生が主人公。若者の感性や感覚を上手にキャッチした表現に、透明感と瑞々しさを感じます。ラストの主人公の面接シーンでは、一気に引き込まれて心を揺さぶられます。就活をしたことがある人は身に染みて共感できる作品です！第148回（2012年）受賞作。

なんと、ラブホテルが舞台。ラブホテルを利用する人、ラブホテルの経営者など、さまざまな視点から物語が進みます。比喩表現や、テーマを象徴する情景描写が素晴らしい。ラブホという退廃的な題材ですが、それぞれ一生懸命に生きている人々に、心がじーんとなります。第149回（2013年）受賞作。

昭和30年代、戦後の日本に生まれた主人公の生涯と、主人公のそばにいた飼い犬の物語。経験したことがない人にも、高度経済成長の日本の様子が目に浮かんできます。犬好きな人には、ぐっとくる描写がたまりません。第150回（2013年）受賞作 。

ロケットエンジンの仕事を得るために、プライドをかけて働く男性たちが、とてもかっこよく思えます。夢と現実、リスクと安定。働くって何だろう？会社って何なんだろう？と考えさせられる物語です。少年漫画を読むような「わくわく感」で、物語の中に引き込まれます。第145回(2011年)受賞作。

明治維新から10年後の根津遊郭が舞台。客引きとして働いているが、元は武士の家系に生まれた男が主人公。すぐに逃げ道を探してしまう主人公と、自分の仕事にプライドをかけた花魁が対照的な物語です。思うようにならない人生の葛藤が描かれていて、共感できる人も多いのではないでしょうか。第144回（2010年）受賞作。