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現代に残る身分制度。インドを中心とするカースト問題がわかる本
歴史を紐解くと、日本にも身分制度は存在しました。しかし、明治の文明開化によって撤廃されたため、身分制度は遠い過去の話となりました。しかし、現在でもヒンドゥー教を原典とする身分制度「カースト」がインドなどにはあります。国際化が進む昨今、知らないでは済まされないカースト問題について、歴史から、現代の状況までがわかる本を紹介します。
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インド社会とカースト
藤井 毅(著)
カーストとは本来、ポルトガル語で「血統」や「純血」を表す言葉でした。しかし、現実的には身分制度としての意味合いが強い言葉です。カーストという言葉の意味は時代によって変化を見せ、特に19世紀以降は身分制度としての問題の象徴になりました。このような言葉の意味の変化とともに、カーストにおける歴史的変遷を解説しています。
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1970年代、著者が実際にインドのカースト最下層「ダリット」の取材を敢行したルポです。現在まで残る根の深い差別意識は、被差別階級の人々からすれば生死に関わる重大な問題であることや、現実にある差別被害を生々しいまでに記録しています。偽りのない実情を知りたい方は、まずは本書から手に取ってみてください。
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冒頭、著者が実際にインドで体験した話として、「同乗していた車が不可触民を轢き逃げしたが、何も問題にならなかった」という衝撃的な実例が提示されます。内容はきわめて主観的ですが、しかし惨憺たる不条理が存在していたことは確かです。カースト問題の内実を、鋭くえぐっています。
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インドで「暮らす、働く、結婚する」
杉本 昭男(著)
インドに留学した著者が、そのまま在留して生活をするなかで、インド人の女性と結婚するエッセイです。外国人である日本人はカースト外であり、被差別階級ではないものの、身分制度にまつわる苦労は多くあります。リアリティのあるインドの空気感を知るうえでは、存外に価値のある一冊です。
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ITとカースト インド・成長の秘密と苦悩
伊藤 洋一(著)
カーストが根強く残るインドですが、21世紀を迎えて変化の兆候が表れました。IT産業がカーストに左右されない新たな職業として台頭したのです。結果、豊富な人材がIT産業に集まったインドは、驚愕の経済発展を遂げました。カーストの闇にITという一筋の光明が差したことを示す本書、今後の動向を考えるうえでの良書です。
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