恐怖感しかない人は、ぜひ読みたい。「イスラーム」について正しく理解する本

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本書は、「イスラーム国」の危険性および注目度が高まるなか、誤った認識が広まらないようにイスラム国の成立や思想的な背景について解説した書です。著者は中東比較政治学・国際関係論とイスラーム政治思想史に長年取り組んできた学者で、必要十分の情報がわかりやすく記されていて、押さえておいて損はない一冊です。

イスラームへの関心が高まった人には、前書に続き、イスラムやアラブについて広範な理解を得られる入門書をオススメします。イスラームの成立から現代までの歴史を「宗教・社会・文化」の切り口から整理してあり、体系的な理解が深まります。「イスラム国」がその他のイスラームとはまったくの別物であると理解できる一冊です。

前書はその副題のとおり「宗教・社会・文化」の観点から充実していた本ですが、思想史については本書の方が役に立ちます。神学ではなく、宗教学の立場からイスラム教の理解を試みた本であり、世界各地に広がるありさまや日本人との関わりにも触れながら、イスラム世界の精神状況を客観的に解き明かしています。

アラブの近現代史を俯瞰すると、イスラームの歴史に対する理解の奥行きが増すようになります。オスマン帝国の関連書は多々あれど、オスマン帝国支配からアラブ革命までを描いたものは、なかなかありません。本書は、歴史上の出来事に対してアラブ側がどのように反応したのか、数々の資料や証言から描いていて、非常に貴重です。

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イスラームを理解するには、まず大雑把に概要をつかんでしまうというのも一つの方法です。その際に、本書のようなマンガは理解しやすく、役に立ちます。パレスチナ問題について4千年前からイスラーム国の時代まで駆け抜けた、わかりやすい秀作です。