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悲しみと絶望で笑い話をつくった作家、カート・ヴォネガットの魅力がわかる本
カート・ヴォネガットは20世紀後半を代表するアメリカのSF作家です。彼が語るのは、第二次世界大戦の従軍経験と、母親の自殺に由来する悲しみと絶望の物語です。それを悲劇ではなく、ユーモラスな笑い話にするのがヴォネガットの魅力です。人類や科学の発展に対する深い洞察に満ちたヴォネガットの世界を体験してみてはいかがでしょうか?
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生産が機械化され、それを設計運用するエリートと一般市民に階層化された社会。働く必要もなく、生活も自由も保証されたこの社会で失われた「働きがい」をとりもどすため、主人公は同志とともにすべての機械を破壊する革命を起こします。1952年に書かれた本書は、現代に起こっている産業の空洞化を的確に予見しています。
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すべての水を常温で凍らせ、地球を破滅させる物質 アイス・ナインと、それを携えた主人公がたどりついた島で流行している宗教・ボコノン教を描いた本。科学が生んだ恐怖の物質と、足の裏をくっつけ合うことで愛情表現するのどかな宗教を対比して、現代文明が抱える問題をシニカルに描き出しています。
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全米屈指の富豪 ローズウォーター家が設立した、財団の総裁であるエリオット。戦争体験で精神疾患にかかった彼は、スラム街のぼろビルで暮らし貧しい人を救済することに偏執的に取り組みます。一方、彼を財団から追い出して財産をかすめとろうと暗躍する、腹黒い弁護士。富の不平等をユーモアで彩った感動的なストーリーです。
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自動車ディーラーで裕福な主人公 ドウェイン・フーヴァーは発狂寸前。彼には周囲の物や人すべてが、自分におかしなメッセージを送っていると感じます。救済を求める彼は、あるSF短編小説にとどめを刺され破壊衝動を爆発させます。主人公の狂気が見た世界のなかに、現代社会への皮肉と深い真実が込められています。
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ヴォネガット自身と彼が生んだ架空の作家 キルゴア・トラウトの会話に、トラウトの書いたSF短編のプロットが挿入される形で進むエッセイ風の小説。科学の進歩と商業主義、芸術や衒学的な学問、さらには人類が地球にとっていかに不要で有害なものかをトラウトの短編が示し悲嘆にくれる、ヴォネガット最後の長編小説です。
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