ブックキュレーターhonto編集員
饒舌で、皮肉っぽくて、でも繊細。サリンジャーの世界へようこそ
その小説が好きか嫌いかというのは、その物語の主人公が好きか嫌いかということに大きく左右されると思います。もしあなたが繊細で敏感な皮肉屋を好きになる傾向があるようならば、サリンジャーの本をオススメします。主人公はみな世の中に嫌気がさした曲者ばかり。しかしどこかで救いを求める姿に、思わず自分を重ねてしまうでしょう。
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世の中にはびこる大人たちの「インチキ臭さ」に嫌気がさした主人公がひたすら逃げ続け、しかし最後に妹の無垢さを目の当たりにして救われる、という物語です。主人公が読者に向かって話しているような文体で書かれているため、比較的読みやすいでしょう。思春期の鋭敏な感性を見事に描き切っており、大人でもハッとさせられます。
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9編からなる、みずみずしい短編集です。長編で見られるクセはやや薄まっていますが、どこか暗喩的な語り口は健在。深く考えさせられたり、切なかったり、ハートウォーミングな物語から哲学的なお話まで、どれもさまざまな形で心を揺さぶってきます。サリンジャーのもつ引き出しの多さに舌を巻く一冊です。
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『フラニーとズーイ』で語られた2人の兄、シーモアとバディの物語です。「大工よ、屋根の梁を高く上げよ」ではシーモアの結婚式での様子が、「シーモア―序章―」ではシーモアという人間のスケッチがバディの視点から描かれています。文体に関して飽くなき探求心をもっていたサリンジャーの、実験的な小説です。
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サリンジャー作品を訳した経験をもつ村上春樹と柴田元幸が、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』について語り倒している本です。サリンジャー本人についてや時代背景、当時の文化など、いわゆる「コンテクスト」にも言及がおよんでおり、特に『キャッチャー~』の読後に読むと、同書が2倍も3倍もおもしろくなることでしょう。
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