ブックキュレーターhonto編集員
饒舌で、皮肉っぽくて、でも繊細。サリンジャーの世界へようこそ
その小説が好きか嫌いかというのは、その物語の主人公が好きか嫌いかということに大きく左右されると思います。もしあなたが繊細で敏感な皮肉屋を好きになる傾向があるようならば、サリンジャーの本をオススメします。主人公はみな世の中に嫌気がさした曲者ばかり。しかしどこかで救いを求める姿に、思わず自分を重ねてしまうでしょう。
- 95
- お気に入り
- 18651
- 閲覧数
-
キャッチャー・イン・ザ・ライ ペーパーバック・エディション
J.D.サリンジャー(著) , 村上 春樹(訳)
世の中にはびこる大人たちの「インチキ臭さ」に嫌気がさした主人公がひたすら逃げ続け、しかし最後に妹の無垢さを目の当たりにして救われる、という物語です。主人公が読者に向かって話しているような文体で書かれているため、比較的読みやすいでしょう。思春期の鋭敏な感性を見事に描き切っており、大人でもハッとさせられます。
-
フラニーとズーイ
サリンジャー(著) , 村上 春樹(訳)
人々の、そして自分自身のエゴに耐えきれなくなったフラニー・グラスは、宗教的な方法で救いを得ようとしますが、兄のズーイがそれを止めようと説得する話です。大事件も起こらず、ト書きめいた地の文と饒舌な2人の会話が延々と続きます。しかし、その会話内容がすごい。多くの読者に共感と希望を与えるようなものなのです。
-
ナイン・ストーリーズ
J.D.サリンジャー(著) , 柴田 元幸(訳)
9編からなる、みずみずしい短編集です。長編で見られるクセはやや薄まっていますが、どこか暗喩的な語り口は健在。深く考えさせられたり、切なかったり、ハートウォーミングな物語から哲学的なお話まで、どれもさまざまな形で心を揺さぶってきます。サリンジャーのもつ引き出しの多さに舌を巻く一冊です。
-
大工よ、屋根の梁を高く上げよ 改版
サリンジャー(著) , 野崎 孝(訳) , 井上 謙治(訳)
『フラニーとズーイ』で語られた2人の兄、シーモアとバディの物語です。「大工よ、屋根の梁を高く上げよ」ではシーモアの結婚式での様子が、「シーモア―序章―」ではシーモアという人間のスケッチがバディの視点から描かれています。文体に関して飽くなき探求心をもっていたサリンジャーの、実験的な小説です。
-
サリンジャー作品を訳した経験をもつ村上春樹と柴田元幸が、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』について語り倒している本です。サリンジャー本人についてや時代背景、当時の文化など、いわゆる「コンテクスト」にも言及がおよんでおり、特に『キャッチャー~』の読後に読むと、同書が2倍も3倍もおもしろくなることでしょう。
ブックキュレーター
honto編集員ブックツリーとは?
ブックツリーは、本に精通したブックキュレーターが独自のテーマで集めた数千の本を、あなたの"関心・興味"や"気分"に沿って紹介するサービスです。
会員登録を行い、丸善・ジュンク堂・文教堂を含む提携書店やhontoでの購入、ほしい本・Myブックツリーに追加等を行うことで、思いがけない本が次々と提案されます。
Facebook、Twitterから人気・話題のブックツリーをチェックしませんか?
テーマ募集中!
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを募集中です。あなたのリクエスト通りのブックツリーが現れるかも?
テーマ応募フォーム
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを入力してください。
ご応募ありがとうございました。
このテーマにおける、あなたの”6冊目の本”は?
※投稿された内容は、このページの「みんなのコメント」に掲載されます。
コメントを入力するにはログインが必要です