現代感覚たっぷりで読みやすい！初心者にオススメの時代小説

群雄割拠の瀬戸内海で、女だてらに海賊団を率いる村上家の娘・景。自分の思うがままに生きた彼女の人生の歩みを追いつつ、戦国という動乱の時代を駆け抜けた人々の姿を描き切った大作です。奔放で自由な新しいヒロイン像を軽妙に描きながら、読後は時代小説らしい深い余韻が残ります。まさに時代もの初心者にうってつけな小説です。

ときは幕末。飼い猫として江戸の町で平和に生きる化け猫たちが、殺された化け猫仲間の無念を晴らすため、人の身を借りて卑劣な悪人たちへの仕返しを計画します。かわいい仕事人たちが人間顔負けの大活躍を見せる、人情あふれる妖怪ファンタジー。個性的なキャラクターとコミカルな語り口で、時代小説に慣れていない人でも楽しめます。

江戸から10日の距離にある湯長谷藩藩主・内藤政醇に、江戸の老中から「5日以内に江戸へ参勤せよ」という無理難題が突きつけられます。時間も人もお金も足りない弱小藩の人々は、この危機をどう切り抜けるのでしょう。次々に巻き起こる珍騒動に爆笑しながら「参勤交代」について詳しくもなれる、楽しくてお得な一冊です。

変り者の若君に仕える少年剣士・伊月（いつき）と、恐るべき戦闘能力を持った謎の刺客・燦（さん）。2人の出会いにより運命の輪が回り始めます。青春小説の名作『バッテリー』の著者らしいエンタメ時代小説です。己の宿命に潔くあろうとする伊月と燦のまっすぐな思いは、現代に生きる私たちでも共感することができるでしょう。

ミステリーの名手・宮部みゆきが、江戸の町で起こる怪異を叙情豊かに綴った短編集です。襖に浮かび上がる正体不明の女の首、新入りの女中が必ず連れていかれる布団部屋の怪など、時代小説に縁のない人も引き込まれてしまうそのリーダビリティはさすがのひと言。美しくも恐ろしい怪異譚の数々に、ページをめくる手が止まらなくなります。