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作家、音楽家、映画評論家・・・多彩な顔をもつ前衛芸術家・中原昌也のカオスな世界
その前衛的な作風が評価され、小説家として数々の文学賞を受賞している中原昌也。彼はまた、ミュージシャン、映画評論家、イラストレーターなど、マルチな才能をもつアーティストでもあります。メジャーとアンダーグラウンドを行き来しながら、特異な表現を続ける彼の魅力を堪能できる本を紹介します。
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マリ&フィフィの虐殺ソングブック
中原 昌也(著)
「物語終了ののち、全員病死」「消費税5パーセント賛成」などの、真剣なのかフザけているのかわからない不穏なタイトル。どこかで聞いたことのあるような、うすっぺらい言葉ばかり喋る登場人物たち。そして起承転結を一切放棄して、突然終了する物語など。読者の小説に対するイメージをことごとく裏切る、著者のデビュー短篇集です。
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40歳を迎えて「未来も救いもない」と嘆く著者が、自らの半生を振り返った自叙伝です。早くから前衛的な映画や音楽、文学に親しんで育つも、周囲に理解されない学生時代。商業的価値が善とされる世のなかで、自身の芸術活動の虚しさに絶望する現在。他者の安易な共感を拒む作風の背景を、垣間見ることができる一冊です。
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12枚のアルバム
中原 昌也(著)
俳優の浅野忠信、前衛音楽家のジム・オルークら、一癖も二癖もあるゲストを迎えて好きなレコードやCDについて語り合った対談集です。紹介されるのは、一般に知られることのない異端でマイナーなアーティストばかり。「ひどい」「誰が聴くの?」とバカにしながらも、未知の表現に触れる楽しさ、大切さを教えてくれます。
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エーガ界に捧ぐ 完全版
中原 昌也(著)
2001~2008年に公開された映画のコラム集ですが、きちんと映画について語っているのは最初の頃だけです。しだいに内容は「金がない」「文章なんて書きたくない」というボヤキや、当時の東京都知事への八つ当たりともいえる呪詛のオンパレードに。しかし、時折顔を出す豊富な知識と映画愛が、その批評眼の確かさを裏づけます。
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中原昌也の人生相談 悩んでるうちが花なのよ党宣言
中原 昌也(著)
「他人の悪い部分を責めてしまう癖がある」という相談に、「人間は善悪ある曖昧な存在。考え過ぎないように、紙に『良い』『悪い』と書いて、ゲシュタルトが崩壊するまで眺めてください」と答える著者。どの回答も一見ふざけて見えますが、一般論や正論にとらわれて生きる必要はない、という著者の信条が伝わってくる一冊です。
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