あの人にこんな無名時代が？作家が未熟ながらも瑞々しい青春時代を綴った本

身の回りの品とわずかな所持金だけをもってあてもなく訪れた海辺のホテルで、若き日の著者は7年を過ごすことになります。どこにも馴染めず、何者にもなれずに焦り、惑う若者を温かく受け入れ見守ってくれた人々との忘れがたい時間。「作家・伊集院静」誕生前夜の日々を綴った回想録です。

フランスへの戦後初の留学生となった遠藤周作が、渡航の様子や留学先での日々を綴った一冊です。初めて踏み入れる異国の地を前に『ぼくは全ての独断を今日から捨てよう。すべてのものを新鮮なまま受け入れていこう』と決意するさまは、青年らしい情熱と誠実さにあふれています。後の遠藤文学を形作る弱者への眼差しの萌芽もうかがえます。

『オイラも芸人になりたいんだけど、どうやったら入れてくれんのかな』そう話したのは、真夏の浅草にビーチサンダルでやってきた若者で、後にお笑い界のカリスマとなるビートたけしです。ストリップ劇場のエレベーターボーイを出発点に、憧れの師匠について必死に芸を磨き、やがて師を離れ自らの道を進んでいくまでが鮮やかに綴られています。

多くの国民的漫画を生み出した藤子不二雄Aの半自伝的コミックです。漫画好きの主人公・満賀道雄は、転校先で自分より漫画のうまい少年・才野茂（藤子・F・不二雄がモデル）と出会い、その才能に衝撃を受けます。やがて2人はともに漫画家への道を目指し・・・。夢を追う苦楽がリアルに描かれている漫画家のバイブルともいえる名作です。

放送作家、劇作家、小説家として活躍した井上ひさしが、いかにして放送作家となり、〆切地獄の「監獄」での日々を歩んだかをユーモアたっぷりに綴ったエッセイです。浪人生→ストリップ劇場進行係→脚本懸賞応募青年→放送作家と駆け上がった青春時代を、黎明期のテレビを支えた人々の情熱や当時の世情も含めて描いています。