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「何か」に変化していく感覚が味わえる!?不条理に満ちた安部公房の世界
急死することがなかったらノーベル文学賞を受賞していただろう、と言われている作家・安部公房(1924-1993)。彼の独創性は国内外で高い評価を得ており、主人公が自分とは別の「何か」に変化していくさまを描いた短編は、その世界観がギュッと濃縮されていて初心者にもオススメです。おぞましくも魅惑的な安部公房の物語を、短編を中心に紹介します。
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コモン君はあるとき、自分の足が植物になっていることを発見します。植物病は徐々にコモン君の身体をむしばみ、植物と人間を行ったり来たりしますが、ついに植物園長から手紙が・・・。世界中の人の病気であるとされている植物病が何を意味しているのか、そんなことを深読みしたくなる短編「デンドロカカリヤ」のほか、10編を収めた初期短編集です。
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仕事を失い自殺を考えていた男は、死んだつもりで身体を提供しないかと持ち掛けられます。その提案を受けると「R62号」という名前を与えられ、身体の自由も感情も奪われてしまいます。そして、本当に「自分」を失うことになって抵抗に転じていく不条理なさまを描いた「R62号の発明」のほか、11編を収めた短編集です。
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安部公房の代表的な戯曲3編を収録した一冊です。「棒になった男」は、ターミナルデパートの屋上から1本の棒があるカップルの近くに落下する場面から始まります。実はその棒は元人間で、カップルが拾うと手の中で棒が急にピクっと動き出し・・・。安部公房の不条理な世界観が存分に味わえる物語です。
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主人公は事故で顔を失った男。彼は妻の愛を再び得るために仮面を作り「他人」として妻に近づくのですが、妻が「他人」と親しくなるにつれ、自分であるはずの「他人」に対して嫉妬心が芽生えてきます。「自分」とは何によって定義されるのか・・・、ということを考えさせられる長編小説です。
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