ブックキュレーターhonto編集員
実は世界的な作家の宝庫!?はじめてのアイルランド文学
イギリス西部に位置する小さな島国アイルランドは、実は世界的に著名な作家を数多く輩出しています。それは、今もなおケルト神話・民話が根付いている風土の影響もあるでしょう。さらにここで紹介している作家たちの皮肉と過激さとブラックユーモアは、お隣の英国から長年にわたって抑圧を受けてきた暗い歴史が育んだのかもしれません。
- 16
- お気に入り
- 16731
- 閲覧数
-
ダブリン出身の司祭にして風刺作家のジョナサン・スウィフトは、一度イギリスに渡るも、政治活動の失敗による失意とともにアイルランドに帰国します。そんなときに書かれたのが誰もが知る本書ですが、これは単なる空想的航海記ではありません。実はイギリスの政治的世相への隠喩的な皮肉になっていて、当時の想定読者は子どもではなく大人でした。
-
「ドリアン・グレイ症候群」という病名まで生み出した物語です。若さと美を賛美する美青年ドリアンの代わりに、彼の肖像画が醜悪に老いていき・・・。永遠の繁栄を誇るかのように見える、大英帝国に対する皮肉とも取れる小説です。このブラックユーモアは、アイルランド文学の伝統といえるかもしれません。
-
ユリシーズ 1
ジェイムズ・ジョイス(著) , 丸谷 才一(訳) , 永川 玲二(訳) , 高松 雄一(訳)
20世紀の文学に革命を起こした小説です。舞台は著者が学生時代に暮らした街・ダブリン。スティーヴンという男の平凡な1日を克明に描いていますが、その描き方がとても実験的でした。アイルランドに伝わるダジャレ、政治的ゴシップのパロディ、引用を数多く含みながら、意識の流れを忠実に描くという果敢な試みがなされています。
-
ワット 新装
サミュエル・ベケット(著) , 高橋 康也(訳)
サミュエル・ベケットは師と仰いだジョイスと同じダブリン出身であり、また師と同様に実験的手法を用いて従来の小説の概念を根本から覆しました。本書ではさながら道化の振る舞いのように、支離滅裂でナンセンスなひとり語りがひたすら続きます。整然とした物語なんてすべてまがい物、とすら思えてくる長編小説です。
ブックキュレーター
honto編集員ブックツリーとは?
ブックツリーは、本に精通したブックキュレーターが独自のテーマで集めた数千の本を、あなたの"関心・興味"や"気分"に沿って紹介するサービスです。
会員登録を行い、丸善・ジュンク堂・文教堂を含む提携書店やhontoでの購入、ほしい本・Myブックツリーに追加等を行うことで、思いがけない本が次々と提案されます。
Facebook、Twitterから人気・話題のブックツリーをチェックしませんか?
テーマ募集中!
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを募集中です。あなたのリクエスト通りのブックツリーが現れるかも?
テーマ応募フォーム
こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを入力してください。
ご応募ありがとうございました。
このテーマにおける、あなたの”6冊目の本”は?
※投稿された内容は、このページの「みんなのコメント」に掲載されます。
コメントを入力するにはログインが必要です