小説家のフィルターを通すと何が浮かび上がる？実在の事件を題材にした小説

日野OL不倫放火殺人事件を題材にした小説です。前半部では不倫相手の乳児・恵梨香を誘拐したOL・希和子の逃亡劇、後半部では実の両親のもとに帰った恵梨香のその後が描かれています。子どもがいない希和子の深い母性、子どもを誘拐された実母の苦しみ、2人の母の間で揺れ動く恵梨香の心情は、女性読者は特に強く共感するはずです。

英国人女性殺害事件から着想を得て、書かれた小説です。若い夫婦を殺害し、犯行現場の壁に「怒」という血文字を残した山神という男。関東と沖縄の離島で、山神に似た3人の男が確認され・・・。本書では、犯人を推理するサスペンスの王道的なスリルとともに、犯人と思われる男と近しい関係になった人々の疑念や恐怖が描かれています。

井の頭公園バラバラ殺人事件を題材にした小説です。工場で働く女性がDV夫を殺害し、パート仲間の3人が遺体をバラバラにして遺棄、それを嗅ぎつけたヤクザとの攻防が描かれています。報酬目当てで犯罪に加担した彼女たちは、崩壊した家族や姑の介護、借金などから「OUT＝脱出」したかに見え・・・。国内外で評価された衝撃作です。

東電OL殺人事件を題材にした小説です。名門校から一流会社に就職したエリート女性3人は、周囲からは勝ち組として見られていました。しかし、実際は熾烈な階級社会である名門女子校でしのぎを削り、入社した会社では男女の格差を思い知ることになります。そして、格差社会に憤慨した彼女たちが向かった先は意外な場所でした。

グリコ・森永事件で犯行に使われた、子どもの声の録音テープに着目して書かれた小説です。事件を追う新聞記者・阿久津と自分の父の事件への関与を疑う曽我が、事件の真相を究明していきます。本書では、犯行に利用された子どもたちの心情とその後に焦点を当てており、犯人像の解明に重点を置いてない点が興味深い一冊です。