何度読み返してもハラハラぐわーん！安定のハイクオリティ高橋克彦5選

かわいい現代の少女の中に江戸時代の人形師のおっさんがいて、そのおっさんが様々な事件を解決する異色シリーズの短編集。こんな用心棒、心強くていいわあ。うちの娘も危険な目に合いそうなとき、こんなおっさんが出てきてくれたら安心なのに。

以前「緋い記憶」はここで紹介した気がするので。ともかく記憶シリーズは本当にハズレがないです！数年おきに何度も何度も読み返しています。ホラーっぽい雰囲気があるのも私好み。表題作なんかモロそうですが、記憶シリーズは「こういうことだな」という思い込みがガランと覆されることがよくあります。その瞬間のぞくっとする感じ、たまりません。

比較的最近の作品が収録されています。東日本大震災のエピソードが入っていたり、ちょっとめずらしい短編集です。大震災のことってエッセイならまだしもフィクション、それもホラーやミステリっぽいものには入れにくいという思い込みがあったので少し驚きました。東北出身の作者ならではの感覚なんだろうと思います。

作者本人による自選短編集なので、他作品とかぶっているものも収録されています。他にも高橋克彦自選短編集はあり、どれもさすがのクオリティです。この「眠らない少女」は他の自選本の中でも、偏りがなく高橋克彦を読む最初の一冊としてお薦めです。

高橋先生の作品の中に時折登場する異世界や異世界の生き物の話、好きなんですよね。基本的に私はある程度現実的な話が好きなんですが、高橋作品においてだけは例外で、「実は化け物でした！」みたいな内容にわくわくします。隠れ里の話、よかったなあ。