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悪い人ではないけれどイイ人でもない・・・。絶妙に憎めない人の物語
「あの人、悪い人ってわけではないんだけど・・・」と思わず口を濁したくなるような人がいるものです。いい人とは言い切れないけど、嫌いにはなれない絶妙なキャラクターが登場する物語を集めました。短気なわりに小心だったり、やさしいけどだらしなかったり・・・憎めない人たちの人間臭さに、読後は肩の力が抜けて気持ちが楽になるでしょう。
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暗渠の宿
西村 賢太(著)
悪党ではないけどろくでなしなのは間違いないのが表題作の主人公、とにかくもてない男です。やっと同棲にこぎつけた恋人へも卑屈ゆえの狭量さから激高し、罵詈雑言をはき暴力をふるう始末ですが、内心で展開する自己弁護は小心すぎてユーモラス。ろくでなしだけど行く末が気になってしょうがなくなってきます。
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仕事ぶりはまじめだし、悪い人ではないけど・・・と口を濁したくなるのが、市役所勤務33歳独身の主人公・金子幸子。「金も子も幸もないものですから」が口癖の幸子は、市民のみなさまへ誠実な対応を心がけつつ、婚活アピールもつねに怠りません。前向きなのか後ろ向きなのかわからないけど、地味に笑いを誘う幸子の生きざまは必見です。
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気弱だけどうわべを取り繕うのがうまく、内実はどうにも身勝手な男・海馬五郎。しょっぱなから妻に浮気がばれて土下座している彼が、逃げ出したフランスでさらなる悪夢に巻き込まれます。タイトル通りの全面降伏ぶりに自業自得でしょうもない奴だけど、助けてあげてと思ってしまうのが不思議です。
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