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本当の主人公は建物!?人間ドラマはおまけと思えてくる建物小説
一見すると登場人物たちの人間関係を描いたいわゆる小説でありながら、一方で彼らのいわば容れ物である建物が偏執的なまでに、克明に描写されている小説があります。著者はむしろそちらの方を書きたかったのでは・・・と思わせられます。ここで紹介するのは、そんな教会、民家、洋風の屋敷、アパートなど、建物が主人公とも言うべき物語ばかりです。
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大伽藍 神秘と崇厳の聖堂讃歌
J.=K.ユイスマンス(著) , 出口 裕弘(訳)
ヨーロッパ教会建築を決定的に画したともいえるロマネスク様式からゴシック様式への移行の、いわば過渡期に位置するシャルトル大聖堂を、主人公デュルタルの視点から論じています。だけど、主人公が修道院に入るまでの経緯がかすむくらい、本書の真の主人公は教会といえるでしょう。教会建築の発展史として読むことができます。
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カンバセイション・ピース
保坂 和志(著)
生きているのは人間だけではない、建物もまた呼吸し、記憶を持っている。そう言いたいかのような小説です。本書の語り手である作家が住む築50年の記憶とともに佇む家は、さながら老年を迎えた人間。そして、そこに暮らす人間はそんな家の思い出に守られ、そこに出入りする猫たちはそんな思い出を抱えた人間に守られてゆくのです。
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間取りと妄想
大竹 昭子(著)
住む部屋がその人の人格を決める!?そんな13の間取り図から始まる物語が詰まった短編集です。人間にも個性があるように、部屋にも個性があります。左右対称の部屋、周囲を部屋に取り囲まれた部屋、海を眺める用の部屋など、ユニークな部屋ばかり。そこに住む住人たちが織りなす物語は、おのずと独特なものにならざるを得ません。
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