人の肉を食べるという禁忌。カニバリズムの狂気にゾクッとさせられる小説

成功を収めた両親と、優秀な2人の子ども。一見幸せな家族に見えるものの、その内部はバラバラ・・・という家族に関する話かと思いきや、後半では一変してカニバリズムを含むサスペンスに変容します。すべて読み終えるとタイトルの真の意味がわかるでしょう。あらゆる意味で想像を覆されること間違いありません。

世界が滅亡する日に恋人に会いに行こうと決意する圭子。本書は、その道中で出会う女たちについて描いた短編集です。最初に出会う、ビーフシチューを作る女の話にカニバリズム描写があります。ここで描かれるカニバリズムは好きすぎて食べてしまいたい、という究極の性的嗜好で、狂気と愛情について深く考えさせられます。

ある日目が覚めたら「火星の迷宮」なるところに置き去りにされていた主人公が、ワケがわからぬままサバイバルゲームに巻き込まれていく・・・というサスペンスホラーです。周りがみな敵、食料もごくわずかという極限状態で起こるカニバリズム。この描写がまたエグイ。追い込まれた人間の狂気を感じることができる小説です。

名探偵・法月綸太郎の頭脳を試すかのように起こる、さまざまな事件を描いた短編集です。カニバリズムが描かれているのは「カニバリズム小論」という1編。なぜ犯人は恋人の死体を食べたのか？法月綸太郎が推理したのは思いがけない結論でした。カニバリズムの歴史や概要についても知ることができます。

お嬢様が集う読書サークル「バベルの会」をめぐる事件について連ねた短編集です。カニバリズムに関する描写は最後の「儚い羊たちの晩餐」という1編に登場します。最初から最後まで直接的な描写がないのですが、それが逆に想像力をかきたてられることでしょう。意味が理解できた瞬間、ぞわっと肌が粟立つこと必至です。