時代とともに変化しつつある日本独特の防衛組織。自衛隊を描いた小説

日本から1万2千キロ。アフリカ、南スーダン。世界で最も貧しいと言われている地域に派遣された定年間近の自衛官・亀尾准陸尉。自衛隊の無力さに苛まれる彼は、宿営地で頻発する盗難事件の調査を依頼されます。不可解な事件はやがて大きな騒乱を呼び起こし・・・。奇形の武力組織ゆえの苦悩を描いた本格ミステリーです。

空から来た塩の結晶が起こした謎の現象「塩害」。この病で数百万人が塩に変化し、この世を去っていました。元航空自衛官の秋庭は、崩壊した世界で暴漢に襲われていた少女・真奈を助けます。2人は塩の街に生きる人々と接しながら、やがて病の元凶である結晶に立ち向かうことに・・・。有川浩のデビュー作となったジュブナイル小説です。

横須賀の桜祭りで開放された米軍基地を、大量発生した巨大甲殻類が襲擊。生半可な銃火器をものともしない怪獣に追われて、自衛官は子どもたちと潜水艦に避難しますが、密閉空間の中で子どもたちの歪んだ関係が明らかになり始めます。SFとロマンス、社会問題までも扱う、有川浩の自衛隊三部作と呼ばれる初期の名作の一つです。

東京・銀座に突如開いたゲートは異世界に繋がっていて、そこから日本を侵略する帝国に対し、日本は自衛隊の派遣を決断。やる気なしの伊丹二等陸尉は、現地のさまざまな種族と交流しながら、しだいに帝国のみならず異世界全体の問題に関わっていくことに。大流行となった異世界もの、ネット小説の端緒でもあるエンターテイメント小説です。

演習中の自衛隊が戦国時代にタイムスリップ。強力な兵器を保有しながらも、歴史に翻弄されるしかない現代自衛官の死闘が幕を開けます。幾度も映像化され、タイムスリップものの嚆矢となった半村良の大ベストセラー。センス・オブ・ワンダーを遺憾なく発揮した自衛隊SFの古典です。