あなたはいくつの性別を知っていますか？性の実情を知るための本

分子生物学者・福岡伸一が、性別を決めるSRY遺伝子の発見の経緯にはじまり、オス／メスをめぐる謎を解き明かしていきます。生命の「基本仕様」はメスであり、オスはオマケのようなものに過ぎない・・・!?オスがいなくても、メスは自己増殖できるそうです。この衝撃の事実に、本書はこれでもかと科学的根拠を突きつけています。

生物学的な違いだけでは男女の性差は論じられないというのが、精神科医である著者の立場。解剖学と結びつけられた、まことしやかに巷で流布しているさまざまな「女（男）ってのは・・・」という迷信を次から次にぶった切っていく手際が痛快です。女は関係原理で、男は所有原理で行動するという後半の議論も腑に落ちることばかりでしょう。

角田光代と穂村弘による、恋愛をめぐるリレーエッセイです。異性とは（他人とは）いかに分かり合えない存在であるかがヒシヒシと伝わってきます。優れた言葉の使い手2人の、すれ違いようが何より際立っていておもしろい。いずれかに深く共感しながらも、異性という異物をつねに意識させられる居心地の悪さが独特の本です。

ゲイである歌人の著者が、なかなか公でスポットライトを当てられないゲイの私生活について、またいわゆるノンケ（異性が好きな人）には気づくことの難しいゲイならではの悩みについて、実体験をもとに具体的に語っています。読後には「ゲイ」に対する認識が180度変わっているはず。画期的な一冊、と言っても過言ではないでしょう。

哲学者とAV監督とフェミニストによる異色の鼎談本です。ジェンダー（社会的性）の違いや対立に始まり、他者に対して抱くしばしば倒錯的な欲望の表現への権力支配をめぐって、議論はそれぞれ違った立場からスリリングに展開されます。多様な欲望が表現された創造的作品はどこまで肯定され、規制されるべきなのか・・・!?考えさせられます。