なんで働いているんだっけ・・・という時に読むべき、仕事を愛する人の本

これは、郵便飛行事業の黎明期、当時危険だった夜間の飛行に挑んだ飛行士たちの物語です。生きる意味を仕事の中に見いだし、使命に燃えながら恐怖に立ち向かう彼らの姿に胸が熱くなるでしょう。こんな風に仕事に情熱と誇りを持ちたい、と思えるようになる一冊。星々の中を飛んでいく描写も非常に美しいです。

アニメ化や映画化もされた本作は、新しく刊行する国語辞典「大渡海」編纂の一部始終を描いています。10年を超える年月をかけた壮大でありながらも地味なプロジェクトに取り組む姿に、働くことの意味を考えさせられます。辞書づくりという天職に就くことができた主人公を、羨ましくも感じるはずです。

執事のスティーブンスはある日、小旅行に出かけ、その道すがらに古き良き時代を思い返します。「良き執事」について彼なりの美学を持っていたことが、彼の人生を豊かにしていたことがわかるでしょう。真に価値があると自分が信じられるものに尽くすことの喜びが伝わってくる小説です。

年老いた漁師のサンチャゴはひとりで海に出て、そこで巨大なカジキと出会います。不漁が続く落ち目の彼が『きっときょうこそは。とにかく、毎日が新しい日なんだ』と前向きに自然に立ち向かう姿に勇気づけられます。逆境にあっても自分を奮い立たせる、力強い言葉が散りばめられた本です。

国立天文台の副所長によるエッセイです。戦時中に闇夜となった東京の星空に魅せられて天文学者になった著者。彼の日常は星や神話や古典芸能など、彼が愛するものに囲まれています。「趣味を仕事にする」という人々の憧れを体現する生活を垣間見ることは、自分の働き方を考え直すきっかけになるかもしれません。