裏切り者の言い分とは？嫉妬、復讐、愛・・・心を抉る物語

旧約聖書で人類最初の殺人者とされる「カイン」の名をタイトルに冠する本作は、バレエのダンスカンパニーを舞台にしたミステリーです。芸術という明確な比較基準のない世界で、評価されたいと願うことが孕んでしまう狂気が、屈辱や嫉妬、裏切りへと色を変えていく様が、息苦しいほどの圧とともに迫ってきます。

『きみとなら、地獄も怖くなかった』こんな情熱的な言葉とともに始まるのは、同じ保育園に子どもを預ける「パパ友」同士の恋愛。妻への裏切りを重ねながら、あえてパパ友との泥沼の不倫の恋にはまっていく裏にあったのは、純粋な相手への愛や恋心だけだったのか・・・ご自身の目でお確かめください。

今や誰もが知るツイッターは、わずか数人のITオタクの友人の集まりからスタートしました。しかし、ビジネスが大きくなるに従い、友人同士だった彼らは分裂や裏切りを繰り返していくことになります。ビジネスと人間同士の生々しい感情の狭間でどんなやり取りがなされたのか。それが克明に描き出されたノンフィクションです。

30枚の銀貨と引き換えに師と慕うイエスを売ったというユダ。裏切り者の代名詞ともいえるユダが、裏切りの瞬間に、胸の内をぶちまけるようにした告白を描いた収録作「駈込み訴え」。友情と裏切りの狭間で揺れる気持ちを克己する様が感動を呼ぶ表題作。二つの作品の間を分かったものとはなんだったのか。ぜひ本書で読み比べてみてください。

戦国時代は「下剋上」という言葉に代表されるように、裏切りが繰り返された世でもあります。信仰のための選択をした者、生き残るために臣下も家族の命も捨てた者、自らの信じる正義のために裏切った者。丹念な取材をもとに、荒木村重、明智光秀など、戦国を生きた反逆児の魂の軌跡を追った歴史小説です。