日常と幻想が融合する文学！日本人作家によるマジックリアリズム小説

南洋の島国で、使い走りから大統領にまで上りつめたマシアス・ギリ。ところが、日本からの慰霊団47人を乗せたバスが忽然と消えた事件をきっかけに、その栄華は少しずつほころび始め・・・。人々の営みが自然や土地の力に飲み込まれていくさまを描いた、日本のマジックリアリズム小説の名手・池澤夏樹による美しい物語です。

借金の取り立てから逃れるためインドに飛び、日本語教師になった主人公。着任早々遭遇した100年に一度の大洪水の後、川の泥の中から、次々と人々の大事な記憶にまつわる品物があふれ出てきます。奇想天外なエピソードがユーモアたっぷりに語られ、笑いのなかに思わずほろりと涙してしまう、パワフルな小説です。

東北の地方都市を舞台に、町と一族の歴史を描いた群像劇です。2000年の夏、町で不審な死亡事故が立て続けに起こります。それぞれの事件の裏には、町ぐるみで隠してきた残虐な歴史が存在していたのです。住民たちの秘密、地方都市の抱える鬱屈、土地の犠牲になった人々の怨念が暴かれる神話のような語り口に圧倒されます。

外界から遮断された島で、未来を見通せるカカシが殺されます。150年ぶりに外から来た男・伊藤はその謎を追いますが・・・。不思議な住民ばかりが暮らす島での奇妙な殺人事件は、ガルシア＝マルケスの『予告された殺人の記録』を彷彿とさせます。マジックリアリズムとミステリーの融合が見事な、伊坂幸太郎のデビュー作です。

戦時中に小学生を襲った集団昏睡事件、そして現代の東京で起こった殺人事件。まるで無関係の出来事を繋ぐのは、15歳の少年・カフカと、猫と会話ができる老人・ナカタさんでした。2人はそれぞれ導かれるように、海を渡り四国へ向かいます。神秘的な土地で、幻想的な冒険を乗り越えた2人の旅の行く先に、胸を打たれます。