ブックキュレーター京都大学こころの未来研究センター教授 広井良典
持続可能な社会をつくる/生きる
経済や人口が「拡大・成長」を続けた昭和の時代、「失われた〇〇年」が繰り返された平成の時代に対し、「令和」時代の最大のテーマは人口減少社会への対応です。そこでは従来型の拡大・成長に代わり、「持続可能性」が重要なものとして浮上します。「SDGs」ともつながるこの話題を幅広い視点から考えてみましょう。
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日本は2011年から本格的な人口減少社会となり、人口や経済が「拡大・成長」を続ける時代とは根本的に異なる時代に入った。だとすれば、経済やビジネス、人々の意識や価値等々、あらゆる面でこれまでとは違う発想での対応が必要になるのではないか。「令和」時代の最大テーマを、広い視野で論じた本。
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成長の限界 ローマ・クラブ「人類の危機」レポート
ドネラ・H・メドウズ(ほか著) , 大来 佐武郎(監訳)
1972年に刊行され、翌年の石油危機を予言するとともに、20世紀で世界にもっとも大きな影響を与えた書物の一つとされる。と言っても直接これを読んだ人は少ないと思うが、実際読んでみると、持続可能性をめぐる話題がここで全て提示されていることに驚く。
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著者はアメリカの都市経済学者。これからの資本主義を牽引するのは科学、IT、文化、デザインといった「クリエイティブ産業」であると説きつつ、そこでは逆説的にも「お金に換算できない価値」、そして「コミュニティ」や「場所」が重要になると論じる。いわば資本主義の“内側”からの反転論。
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デンマーク幸福研究所が教える「幸せ」の定義
マイク・ヴァイキング(著) , 枇谷 玲子(訳)
資本主義の進化の帰結として浮上するのが、「持続可能性」と並んで「幸福」のテーマだ。私たちは何かを“我慢”して持続可能性を実現するのではなく、むしろ「幸せ」になるために持続可能性に向かうのではないか。幸福の経済学をめぐる類書は多いが、全体像を把握するのに適した本。
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相互扶助の経済 無尽講・報徳の民衆思想史
テツオ・ナジタ(著) , 五十嵐 暁郎(監訳) , 福井 昌子(訳)
そもそも「経済」って一体なんだろう。私たちは経済イコール「ひたすら利潤を拡大すること」と考えてしまうが、実は経済とは本来「相互扶助」、つまり人と人の支え合いの活動だったということを、日本の伝統的な経営思想やビジネスに遡りながら解明。日本の経済・経営と「持続可能性」の意外な親和性に気づく。
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ビッグヒストリー われわれはどこから来て、どこへ行くのか 宇宙開闢から138億年の「人間」史
デヴィッド・クリスチャン(著) , シンシア・ストークス・ブラウン(著) , クレイグ・ベンジャミン(著) , 長沼 毅(日本語版監修) , 石井 克弥(訳) , 竹田 純子(訳) , 中川 泉(訳)
「持続可能性」が重要というけれど、私の人生がいつかは終わるのはもちろん、考えてみれば人類もやがては滅びるし、地球や宇宙も最後は終焉を迎えるのではないか?そもそもなぜ「持続可能性」が大事だと言えるのか?そうした根本的な疑問に対して、多くの示唆を与えてくれる本。
ブックキュレーター
京都大学こころの未来研究センター教授 広井良典1961年生まれ。東京大学教養学部卒業、同大学院修士課程修了後、厚生省勤務、千葉大学教授をへて現職。この間、マサチューセッツ工科大学(MIT)客員研究員。専攻は公共政策及び科学哲学。『日本の社会保障』(岩波新書)でエコノミスト賞、『コミュニティを問いなおす』(ちくま新書)で大仏次郎論壇賞受賞。
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