サイト内検索

詳細検索

ヘルプ

セーフサーチについて

性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示を調整できる機能です。
ご利用当初は「セーフサーチ」が「ON」に設定されており、性的・暴力的に過激な表現が含まれる作品の表示が制限されています。
全ての作品を表示するためには「OFF」にしてご覧ください。
※セーフサーチを「OFF」にすると、アダルト認証ページで「はい」を選択した状態になります。
※セーフサーチを「OFF」から「ON」に戻すと、次ページの表示もしくはページ更新後に認証が入ります。

  1. hontoトップ
  2. ブックツリー
  3. 小説・文学
  4. 価値観が変わる
  5. 小説の傑作が映画の傑作になるなんてことが・・・

映画批評家 寺本郁夫ブックキュレーター映画批評家 寺本郁夫

小説の傑作が映画の傑作になるなんてことが・・・

たまにはあるんです。そんなレアケースをご紹介します。小説の歴史のマイルストーンのような作品を映画にしちゃう豪胆さと周到さに映画作りの高い才能が加わると、時に映画史にその名を残す映画が作られてしまう。先に小説を読むか映画を見るか、なんていう議論とは別次元で、小説と映画の両者が互いの光で照らし出されるような経験を、ぜひ。

61
お気に入り
5212
閲覧数
Myブックツリーを見る
Myブックツリーに追加すると、気になるブックツリーをまとめて見ることができ、とても便利です。さらに、hontoトップで関連したブックツリーが表示されるようになります。

  • 仮借ない描写に目を背けたくなる。けれど、目が離せない・・・。「エンマ・ボヴァリーは私だ!」という作者の言葉は、そのまま私たちのものだ。19世紀プチブル主婦の欲望の悲劇がこんなに生々しいのは、ここに私たち現代人の魂の不幸の源泉があるからだ。これをもとに、ルノワール、ソクーロフ、シャブロル、オリヴェイラの4監督は、それぞれに生の深淵を覗き込む、底知れない映画を創り上げている。

  • タフガイの私立探偵フィリップ・マーロウと、戦争で完膚なきまでに心を壊された優しい男との出会いが切ない。ここにも、私たちの文明の不幸の原型がある。登場人物一人一人の造形が繊細で深い彫琢を施されている。訳文の文体が村上春樹自身の小説そのままなので、村上文学はこれを継承して紡がれているようにも思えてくる。この物語を異形のハードボイルド映画に仕立てたのは、ロバート・アルトマン監督。

  • ドストエフスキーのセリフがいつもあんなに長くなるのは、しばしば会話の相手だけじゃなく、語り手自身や神に語りかけてしまうからだ。でも、そうすることで、セリフには重層性と立体性とドラマが生まれる。『白夜』はそんな言葉の世界と、びっくりするくらい迅速な行動の交錯するラブストーリー。それをもとに、ルキノ・シスコンティとロベール・ブレッソン、ジェームズ・グレイの3監督がそれぞれに、全く違う映画世界を作っている(グレイの邦題は『トゥー・ラバーズ』)。

  • これほど衝撃的なSF短編集は、ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア以来か。文字通り天地がひっくり返るのが、最初の短編『バビロンの塔』。表題作も驚天動地。エイリアンの言語を学ぶうちに、ヒロインの言語学者の脳には、人類が経験したことのない認知フォーマットが形成されてしまう!それを読む私たちの時空の概念も、人生観さえもアップデートされる。それを「人類の物語」に見事に書き換えたのが、ドゥニ・ヴィルヌーヴの映画(『メッセージ』)。

  • これほど文章を読む陶酔を味わわせるSFもなく、そんな文章が読書を禁じられた世界を描くわけだから、本を読むことへの思いは憧憬に近いものに高まる。SNSの支配する現代にこそ読まれる小説と言えようか。ファイアマン(本を焼く係官)が本を愛する少女に出会う場面など、散文詩のように言葉が香り立ち、想像力は彼方まで飛翔する。フランソワ・トリュフォーの映画は、この物語に美しいラストシーンを添えている。

映画批評家 寺本郁夫

ブックキュレーター

映画批評家 寺本郁夫

映画批評家。80年代の季刊『リュミエール』に映画批評を発表。以来、TOWER RECORDSの『intoxicate』、『映画芸術』に映画批評を寄稿。映画の批評とはその映画の独自性を発見すること、および、その批評を通して映画とは何かを発見することと信じる映画原理主義者。さらに、映画批評は単に映画を発見するのみでなく、映画を表す言葉を発見しなければならないと信じる批評原理主義者。座右の銘はメルロ=ポンティの次の言葉。「(『語る』という現象において)話し手は語るに先立って考えるのではない。話す間に考えるのですらない。語るということが考えることなのである。」映画も読書も雑食性。好き嫌いなく食べます。

ブックツリーとは?

ブックツリーは、本に精通したブックキュレーターが独自のテーマで集めた数千の本を、あなたの"関心・興味"や"気分"に沿って紹介するサービスです。
会員登録を行い、丸善・ジュンク堂・文教堂を含む提携書店やhontoでの購入、ほしい本・Myブックツリーに追加等を行うことで、思いがけない本が次々と提案されます。
Facebook、Twitterから人気・話題のブックツリーをチェックしませんか?

テーマ募集中!

こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを募集中です。あなたのリクエスト通りのブックツリーが現れるかも?

お問い合わせ

著者・出版社様などからブックキュレーターの応募などは、お問い合わせフォーム 「ご意見・ご要望」からご連絡ください。

お問い合わせする

テーマ応募フォーム

こんなテーマでブックツリーを作ってほしいというあなたのリクエストを入力してください。

ご応募ありがとうございました。

閉じる

このテーマにおける、あなたの”6冊目の本”は?

※投稿された内容は、このページの「みんなのコメント」に掲載されます。

コメントを入力するにはログインが必要です

人気のブックキュレーターがおすすめ本を紹介! PICKUP!ブックキュレーター

×

hontoからおトクな情報をお届けします!

割引きクーポンや人気の特集ページ、ほしい本の値下げ情報などをプッシュ通知でいち早くお届けします。