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時代を超えて読み継がれる文学の根源的な力。小説家・中上健次を知る本
故郷・紀州の被差別部落を舞台とした作品群「紀州サーガ」で知られ、現在も多くの作家に影響をあたえている中上健次(1946‐1992)。社会から疎外されて生きる人々を善悪を超えて描いた作品世界は、時代を問わず、文学の持つ根源的な力を感じさせてくれます。ここではエッセイなども含め、初めての読者にオススメの本を集めました。
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新聞販売店で住み込みとして働く予備校生が、テロのごとく近隣住民に脅迫電話をかけまくる表題作を含む、4つの中編を収めた初期作品集です。上っ面だけ取り繕った世の中に対する不快感、突発する暴力、そして複雑な家庭環境と24歳で自死した腹違いの兄。後の作品で繰り返し表れるモチーフの萌芽が散りばめられています。
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故郷・紀州の被差別部落に住む人々を取材したルポルタージュです。読み書きとは無縁ながらも豊穣な記憶を語り聞かせる老女。撮影厳禁の食肉センターで目の当たりにした牛の屠殺作業。車を駆ってひとり差別の核心へと迫ってゆく著者を追ううちに、世の中からないものとされてきた『輝くほど明るい闇の国家』が浮上してきます。
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路上のジャズ
中上健次(著)
1960年代後半、新宿の街で聴き狂ったというジャズに関するエッセイや詩などで編まれた一冊です。過激なサウンド越しに『破壊せよ』と語りかけてきたアイラ―。そのラディカルな音楽的進化を、文学におけるジョイスの歩みと重ねられるコルトレーン。著者の破天荒な青春の軌跡と文学に対する覚悟が生々しく刻印されています。
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柄谷行人中上健次全対話
柄谷 行人(著) , 中上 健次(著)
日本を代表する思想家・文芸批評家との全対談と書簡風エッセイが収録されています。内向きに自閉する日本の文学・言論空間を突き抜け、つねに世界を意識して表現を続けた2人の対話は挑発的でスリリング。自作への言及や、「物語」「差別」「天皇」など中上作品に関連する話題も多く、彼の小説を深く理解するうえでも必読です。
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