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執着がやがて破滅をもたらす!?依存にまつわる海外文学の名著
今の時代は娯楽の種類が豊富なので、人それぞれさまざまな趣味を持っているものです。仕事も時間も忘れて趣味に没頭するのは楽しいことですが、ひとたび依存に転じてしまうとあなたの身に危険を及ぼし始めることも。文学の世界はそんな人間の執着心に目を向け、破綻に至る様子を表現してきました。ここではそんな依存にまつわる名著を紹介します。
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貴族の末裔でありながら、俗世を捨てて隠遁生活を始めたデ・ゼッサント。彼は理想の中で生きるため屋敷の大改装を決意し、文学、絵画、宝石、香料、植物で徹底的に部屋を装飾します。人工楽園を築く偏屈者を描き出し、フランス自然主義を揺るがしたユイスマンスの問題作にして、デカダンスの聖典と謳われる意欲作です。
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ユニヴァーサル野球協会
ロバート・クーヴァー(著) , 越川 芳明(訳)
野球ゲームに没頭する男の物語。彼はサイコロで結果を決める「ユニヴァーサル野球協会」を考案して以来、試合に明け暮れる日々を送っていました。しかし仮想の野球協会はアメリカの歴史や政治などを盛り込みはじめ、徐々に現実との境界が曖昧に・・・。仮想世界の緻密な設定と、主人公の異常な没入ぶりに圧倒される伝説的な奇書です。
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「夭折した天才作家の伝記」という設定の小説。著者役の少年ジェフリーは11歳で死去したエドウィンを回想し、その類まれな才能を綴りますが、彼は伝記発表後に失踪。創作に没入するエドウィンと彼をストーカーのように観察するジェフリー。2人の異常な性質は子どもの暗黒面を示唆し、空恐ろしい気持ちにさせられます。
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第三帝国
ロベルト・ボラーニョ(著) , 柳原 孝敦(訳)
死後発表されたボラーニョの初期作です。観光地で戦争ゲームの攻略記事を作成していたウドの日常は、知人の失踪と、火傷痕のある男との対戦をきっかけに一変します。架空の戦争は現実を侵蝕していき、ゲームで劣勢になるとウドの強迫観念は強まるように。追い詰められることの恐怖を暗示的に表現する筆力が見事です。
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