ブックキュレーター翻訳家・ライター 柳澤はるか
ゆううつを抱いて生きる君へ。虹色のメランコリーがにじむ本
元気の基準は人それぞれで、“やや憂鬱”が普通の状態の人もいます(私も)。ここに集めたのは、憂鬱とともに生きる者たちの本と雑誌。フィンランド、韓国、日本。ヒト(またはムーミン)のいるところに憂鬱あり。さみしさも、悲しさも、おかしみも歓びも、虹のように溶けあう世界をゆっくり歩いてみませんか。
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愉快なしらべの中にさまざまな憂鬱が漂う短編集。春の悲しみを歌うスナフキン。憧れとメランコリーにおそわれるムーミンパパ。自分の話ばかりする人々の中で、返事をする時間をもらえなかったヘムレンさん。本当に好きなものを人へやってしまったスニフ。ムーミンたちなら、あなたが抱える憂鬱にも、うなずいてくれるはず。
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悲しくてかっこいい人
イ ラン(著) , 呉 永雅(訳)
1986年ソウル生まれのアーティスト、イ・ランの日記的エッセイ。20代の終わりから30歳へ。ある日は悲しく腹が立ち、ある日は自分という不思議な生き物に舌打ち、ある日は「無駄遣いを仕事に暮らしている大人」として子どもたちに音楽を教える。「わたしは必要のないものを作ってそれを必要なものにする人だ」
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40歳を前に会社を辞めた著者は、もう必死に生きないことに決めた。知らぬ間に参加させられていたレースを棄権することにしたのだ。あのレースは一体何だったのかと、首をかしげながら。正しい選択をせよとのプレッシャー、「絶対あきらめるな」の残酷さなど、私たちを苦しめるものの正体を、ユーモラスに解体していく。
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「キツいときにこそ北に行きたくなる」という能町みね子さんによる旅エッセイ。すべてが嫌になった時、北へ行けば「やわらかいあきらめのような気持ちが生まれます」。向かうは三陸海岸、夕張、グリーンランド他。観光地っぽくないところにグッときたり、そこで暮らす自分を妄想したり、著者が誘う逃北の旅を、お試しあれ。
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Maybe! volume7 笑いが必要だ
小学館(著)
憂鬱なモノ同士、教室の隅に集まって読むならこの雑誌がいいと思う。笑いながら泣いている感じの人が続々登場する、爽快なカオス感。読んでると、私も自由に生きればよい、はみだしても、はぐれてもよいのだと思えてくる不思議。今号の個人的なお勧めは、「勝手に考察 前髪が重たい男子はおもしろい!」
ブックキュレーター
翻訳家・ライター 柳澤はるか1985年生まれ、東京大学文学部言語文化学科卒。20代後半、偶然訪れた北欧の国々にシンパシーを覚えたのをきっかけに北欧の研究をはじめ、現在は、翻訳や執筆、講演などをとおしてフィンランド文化を中心に発信している。訳書に、フィンランドのベストセラーコミック『マッティは今日も憂鬱――フィンランド人の不思議』『マッティ、旅に出る。――やっぱり今日も憂鬱』、フィンランド独特の精神「SISU」と幸せの秘密にせまる実用書『フィンランドの幸せメソッド SISU(シス)』(いずれも方丈社)がある。東京在住、森の暮らしとの2拠点生活を模索中。
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