一歩踏み出したいあなたに！変化球だけど胸を打つ物語

主人公ジュゼッペは「トリツカレ男」と呼ばれるほど、いろいろなものにとりつかれるように夢中になる性格。世間からは少し変わり者だと思われている彼ですが、物悲しい雰囲気を漂わせる風船売りの女の子に恋をして物語が急展開します。彼のひたむきで愚直な愛が、読者の心を熱く溶かしてくれるでしょう。

死後、天国で行われる抽選に当選し、もう一度人間に再挑戦できることになった主人公。彼は自殺を図った少年・真の体にホームステイすることになります。一度終わった人生だからこそ、どこまでも他人ごとで飄々と過ごしますが、徐々に周囲との関係性が変化して・・・。設定は斬新ですが、ラストは直球で胸に響く青春小説です。

「必ず戻る」と約束した恋人を待ち続け、旅を繰り返す母親と、地に足のついた生活を望む娘の物語。2人の慎ましくも勇敢な日々が丁寧に描かれ、それぞれの意思の強さに胸打たれます。親子の物語としてだけでなく、人と人との切っても切り離せない縁や業について思いを巡らせてしまうでしょう。

不登校の主人公・まいは、「西の魔女」と呼ばれるおばあちゃんの家でひと夏を過ごすことになります。のびのびとした自然の中で魔女修行に励みながら、大切なことに気づいていくまい。「現代社会のなかで自分を貫く強い人」である魔女の姿勢に触れ、主人公とともに「自立」について考えさせられるかもしれません。

運命的な出会いを経て、恋人同士になったタケルと千波。千波は迷いなく彼へ歩み寄りめでたく結ばれたものの、ある日タケルは彼女の秘密を知ってしまいます。人を愛する難しさと複雑さには時に心をくじかれそうにもなりますが、それでもやはり「好き」へとたどり着くことの尊さを感じる美しい物語です。