ブックキュレーターhonto編集員
作者自身が作中に?現実と虚構を混ぜ合わせた文豪の知的遊戯を楽しめる小説
小説における実験的技法の中でも、「メタ・フィクション」は知名度の高い手法の一つ。ここでは、メタ・フィクションの具体例として作者自身が登場する小説をとりあげます。ノンフィクションではなく、フィクションに自分自身を介入させてしまう豪快な手法は、たびたび破天荒な展開で読者を驚かせてきました。一風変わった物語の数々をご堪能ください。
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文学会議
セサル・アイラ(著) , 柳原 孝敦(訳)
アルゼンチンを代表する作家の中編2編を収録。表題作の主人公は、小説家にして世界征服を目論むマッド・サイエンティストである著者のセサル・アイラ自身。ある日、文豪カルロス・フエンテスのクローンを作るため文学会議に出席しますが、予想外の事態に直面し会議は大混乱に。奇想天外な顛末に驚かされること必至です。
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地図と領土
ミシェル・ウエルベック(著) , 野崎 歓(訳)
孤独な芸術家であるジェドは、カタログの原稿をミシェル・ウエルベックに依頼します。俗世間を離れて暮らすウエルベックに共感したジェドは、友情の証として肖像画を贈りますが、間もなく彼は惨殺死体で発見され・・・。芸術論を交えたミステリアスな展開に、自分自身を抹殺するという大胆な案を加えた異色の長編小説です。
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砂の本 改訂新版
ホルヘ・ルイス・ボルヘス(著) , 篠田 一士(訳)
「砂の本」と「試練」を収録した短編集です。巻頭を飾る「他者」はボルヘスが1964年のケンブリッジ市で青年時代の自分と出会い、対話を重ねる物語。年齢の離れた2人のボルヘスの会話は、自分自身の遍歴を辿りながら、終生のテーマである「夢」「鏡」「時間」といった概念をほのめかし、自己言及的な幻想空間を描き出します。
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冬の夜ひとりの旅人が
イタロ・カルヴィーノ(著) , 脇 功(訳)
文学の魔術師イタロ・カルヴィーノ。本書では「冬の夜ひとりの旅人が」の著者として、冒頭から登場します。ところが読み始めた主人公がこの本の乱丁に気づいて交換を求めることになり、物語の断片から断片に飛び移る読書の旅が幕を開けます。メタな視点で読者自身のストーリーを追う幻惑的な構成に圧倒されるはずです。
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高額の原稿料を掲げる文芸誌『ベラス・レトラス』と、革新的な作品を寄稿する作家たちを描くメタ・フィクション。常識にとらわれない作風で名声を得る作家たちですが、その命運は嫉妬と憎悪に駆られた同人誌作家の爆弾テロを契機に揺れ動きます。実験小説の大御所が、自らをも登場させたブラックユーモア小説です。
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