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『火垂るの墓』だけじゃない。挑発的で型破りな野坂昭如の小説&エッセイ
黒のサングラスをトレードマークに、作家、歌手、政治家など、さまざまなジャンルで活躍した野坂昭如(1930-2015)。小説では自身の悲惨な戦争体験を題材にした『火垂るの墓』が有名ですが、ほかにも魅力的な作品はたくさんあります。ここでは「焼跡闇市派」を自称し、反権力・反体制を貫いた彼の、挑発的で型破りな小説とエッセイを紹介します。
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エロ事師、すなわちエロのプロ。主人公のスブやんは、どんな立派な人間もエロがなければ生きる甲斐なしを信条に、売春斡旋やら乱交パーティーやら今でいうエロ動画の撮影会やらと、あらゆるエロサービスの提供に奔走します。警察に追われようが仲間が死のうがおかまいなし。一途にエロ道を突き進む姿に圧倒されるでしょう。
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糞便愛好家とオナニストと酒乱の仲良し男3人組みが、ふとしたきっかけでテロを企てることに。元殺し屋の老人と死体愛好家の女性を加え、とてもここでは書けないような残虐非道な殺人を重ねていきます。都心のビル屋上で国家とやり合うラストはカオスのひと言。性と死が滑稽かつ壮絶に入り乱れる展開に言葉を失ってしまいます。
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男子大学生がマリリン・モンローの恋人となるべく、自堕落な日々からの脱出を試みる表題作。社会の底辺で生きる男たちが、孤独な老人の最期を見届けるサービスを始める「死の器」。地震による原発事故を予感させて終わる「乱離骨灰鬼胎草」。計5編、著者の真骨頂である妄想力と独自の死生観が堪能できる短編集です。
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野坂昭如 アドリブ自叙伝
野坂 昭如(著)
終戦直後の10代後半ころまでを語った自叙伝です。生後まもなく養子に出された幼少時代に始まり、落ちこぼれて人のひんしゅくを買う行動ばかりしていた中学時代。一瞬で家も家族も失った神戸大空襲とその後の飢えと盗みの日々、そして、あの『火垂るの墓』に描かれた嘘。より一層小説が深く味わえるエピソードが満載です。
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