ブックキュレーター主婦の友社 石井美奈子
「介護」に向き合っている人の心がちょっと軽くなる五冊
リアル書店の介護コーナーには実用書、体験記が数多く並んでいる。私自身、何もわからずに、いますべきことを知ろうとした初期の読書を終えたら、少しでも自分の状況に光が見えるような本を探すようになった。今回ご紹介する五冊は、体験のすごさに驚き、共感を覚え、登場人物たちの未来の幸せを願い、私自身の心が軽くなった本ばかりである。
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地方紙24紙の新聞連載で大反響を呼んだ「保身と献身のはざまで」の著者が、夫が倒れた時のこと、その後2年間の闘い、これからをありのままに描いた渾身のノンフィクション。介護=嫁の仕事、自宅介護が当たり前など、世間の常識がストレスになることも綴られて、共感できる。深刻なのにおもしろく、小気味好い読後感。
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著者は『週刊新潮』の連載「TVふうーん録」でおなじみの吉田潮さん。自身の父母の介護を通して、「自宅介護は憎悪を生むだけ」、「介護とは『お金』と『罪悪感』とどうつきあっていくか」、「元気に働き続けて生活を維持するほうが親孝行」、「親の介護はプロにまかせる」など、介護の呪縛から解き放つ金言がたくさん。
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旅行や不妊マンガでも有名なマンガ家夫婦、堀田あきおさんとかよさんは介護マンガも描いている。かよさんのお母さんは60代後半から要介護となり、現在はお父さんも含めて遠距離でのW介護状態。タイトルの10ねんめはお母さんの介護歴。自分の親なら怒ってしまいそうだが、笑えてホロリとさせられるエピソード多数。
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息子による介護。母ちゃん役は赤木春恵で映画化された。『ペコロスの母に会いに行く』が出たときに、どうしてこんなに母親に対する目がやさしいのだろうと思った。この本では苛立って拳を振り上げたこともあり、当時は笑ってなどいられなかったことが正直に語られている。マンガと著者のユーモアが深刻な中にも笑いを誘う。
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娘がみつめた老老介護と自身の遠距離介護。フジTV「Mr.サンデー」で放送され、映画化もされているのでご存じの方も多いだろう。あらためてお母さんとお父さん、カメラを回しながら見守る娘の記録を活字で読むと、相互の信頼関係、お互いを思いやる気持ちにいいようのない感動があった。2020年4月お母さんは逝去。
ブックキュレーター
主婦の友社 石井美奈子主婦の友社(http://www.shufunotomo.co.jp/)で編集の仕事をしています。根っからの本好き、そして、本屋さんが好きで、この業界に飛び込みました。好きな旅・食についてや、女性の視点での健康や老後について本を広く紹介していきます。
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