ブックキュレーターhonto編集員
相手へ宛てた言葉だけですべてを描写。往復書簡の形式でドラマを紡いだ本
手紙とは、特別な相手に自分の気持ちを伝えるためのものです。その文面は時に意図せず語り手の内面を吐露し、深く隠された真実を語ることがあります。ここでは手紙のやり取りが物語を紡いでいく、ちょっと変わった本を紹介します。登場人物の性格や置かれた状況、謎とその答えまで、すべてを手紙という特別な形式で語りきるテクニックをご堪能ください。
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往復書簡 初恋と不倫
坂元 裕二(著)
手紙だけで表現された書簡体小説は、いわばセリフだけで構成された演劇のようなもの。脚本家である著者にはうってつけの表現方法です。本書はメールや書簡のかたちを使って綴られる、舞台劇のようなサスペンスに満ちたラブロマンス。一筋縄ではいかない謎と驚きの展開で、読者をぐいぐい引き込みます。
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人魚とビスケット
J.M.スコット(著) , 清水 ふみ(訳)
本書では、一風変わったかたちの文通が披露されます。それは、新聞の広告欄。「ビスケット」というペンネームの男性が出した「人魚」という人物の消息を探す広告、そして人魚がビスケットに宛てた返信の形の広告を通して、衆目監視のなかでの文通が展開されます。形式もシチュエーションも風変わりな傑作です。
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モーフィー時計の午前零時 チェス小説アンソロジー
ジーン・ウルフ(ほか著) , フリッツ・ライバー(ほか著) , 若島 正(編)
チェスには昔から、書簡を利用した「郵便チェス」というプレイ方法があります。それを愉快な書簡体小説に仕上げたのが、映画監督のウディ・アレンです。本書所収の短編「ゴセッジ=ヴァーデビディアン往復書簡」は、プレイヤー間の往復書簡で綴られたコメディ。丁々発止の舌戦に、チェスを知らなくても笑ってしまいます。
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