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痛みと悲しみを帯びた季節。青春の影を描き切った本
青春という2文字は、みずみずしくて輝かしい日々を想起させます。しかし、そんなまぶしい日々だけが青春のすべてではありません。世の中の不条理や理不尽を飲み込めず、ぶつけようのない怒りや、底なしの悲しみを抱えてしまうような影も持ち合わせているのです。ここでは、そんな鈍色の青春を描き切った本を紹介します。
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「少し変わった転校生が、退屈な日々に新しい風を吹き込む」というのは誰もが期待するストーリーですが、本書はそんな予想を裏切ります。どこか悲壮な雰囲気を漂わせる転校生に引き込まれる主人公は、やがて世の中の不条理に直面します。誰もがどこかで味わった、子どもであることの無力さを思い出させてくれる物語です。
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同じ教室で過ごしていても、友達に言えない秘密を抱えている青春時代。それが恋心であればなおさらです。この物語が高校生だったころの主人公と、社会人になった主人公の姿を通じて描いているように、時を経てから真実を知ることがあります。青春の「答え合わせ」をするような、切ない気持ちをくれる小説です。
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思春期に抱えた苦しさは、誰にでも打ち明けられるものではありません。だからこそ、さまざまな立場の人物が抱えたものを丁寧に描く本作に、「あの時の自分」を発見できるのかもしれません。冬の日に校舎に閉じ込められるという不思議な設定のミステリー小説ですが、青春小説としても傑作であることは間違いありません。
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SNSを通じて「生きづらさ」を発信することが現代の特徴ならば、本書で描かれるのはそんな行為の走りかもしれません。リストカットを繰り返した末に命を絶った女子高生の南条あやが、実際にネットで公開していた日記をまとめた本書。渋谷、ゲーセン、援交、カラオケなどを楽しむ日記の行間に覗く、憂鬱な叫びが突き刺さります。
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