ブックキュレーターhonto編集員
手紙に込められた心の機微を読む。書簡体小説の傑作
書簡（手紙）の内容だけで進行する「書簡体小説」の代表作を厳選しました。18世紀の西欧で全盛期を迎えた書簡体小説は19世紀以降一時衰退。しかし、複数の人物が交わる往復書簡や長大な独白がもたらすスリリングな展開はその後世紀をまたいで愛され、ネットが普及した現代でも根強い人気を誇ります。色褪せぬ「文通」の魅力を味わってください。
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著者のラクロは、18世紀に活躍したフランスの作家。貴族社会の退廃的な恋愛沙汰を、複数の登場人物の往復書簡を通して描き出している点が特色。火つけ役のメルトイユ侯爵夫人を筆頭に緊張感に満ちた対話が展開されます。嫉妬の炎を燃やし、欲に駆られるまま策謀する貴族たちのスリリングな文通を楽しめる書簡体小説の先駆け的一冊です。
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貧しき人びと 改版
ドストエフスキー（著） , 木村 浩（訳）
初老の小役人と病身の乙女の往復書簡という体裁で書かれた、ドストエフスキーの処女作。善良な心を持ちながらも貧困に喘ぐ2人は、お互いが経験する薄幸と屈辱の日々を手紙に綴り、叱咤激励し合う間柄でした。社会的に疎外された人々のリアルな声を描くとともに、その人間性の回復を試みたセンチメンタルな物語です。
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アメリカの作家ウェブスターの小説です。主人公は孤児院で育てられたジュディという少女。彼女は評議員に才能を見込まれると、毎月手紙で近況報告することを条件に奨学金を受けます。学業に励みながら交友関係を築き、その内容を手紙に記すジュディ。そんな彼女はある驚きの事実を知ることに。夢のある児童文学の傑作です。
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三島由紀夫レター教室
三島 由紀夫（著）
英語塾を開いている高慢な未亡人、猫好きの皮肉屋である服飾デザイナーなど年齢も職業も異なる5人の男女。彼、彼女たちの一悶着を往復書簡形式で表現し、ユニークな文例集に仕上げた三島由紀夫の異色小説です。恋愛感情を綴ったり、相談を持ちかけたり、罵倒したりと、手紙に込められた豊かな喜怒哀楽をお楽しみください。
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