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忍び寄る病の恐ろしさ。感染症の脅威を描き出した小説
感染症は古来より人類に脅威を与えてきました。突発的に発生し、変異を繰り返しながら生活空間を侵食するウイルス・病原菌は、今この瞬間も猛威を振るっています。そうした感染症の恐ろしさは、文学の世界でも数多く表現されてきています。ここではペスト、天然痘、コレラ、または未知なる感染症を題材にした「疫病文学」の傑作を選び抜きました。
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ヴェニスに死す 改版
トオマス・マン(作) , 実吉 捷郎(訳)
ヴェニスを旅行していた初老の小説家が眉目秀麗な美少年に魅せられ、その比類なき美に陶酔する物語として有名ですが、本作には感染症を下敷きにした疫病文学としての要素も含まれています。彼らの淡い交流はコレラの流行に翻弄されることに。封鎖予定の都市に留まる小説家の決意と奇行は、鮮烈な印象を残します。
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隔離の島
ル・クレジオ(著) , 中地義和(訳)
著者自身の祖先の生涯を下地にした小説です。故郷を追放され、モーリシャスに向かっている途中に船内で天然痘が発生。一行は目的地付近の島で40日間に及ぶ隔離生活を余儀なくされます。医薬品も食料も不足し、乗客は極限状態を生きることに。19世紀末の植民地政策・差別と疫病という問題を掛け合わせた名作です。
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