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日記に秘められた人間の情念に触れる。日記体小説の傑作選
日記体小説は、日記や手記の体裁で書かれた小説形式のこと。19世紀以降、書簡体小説に取って代わり、今も世界文学の主要分野として多くの人に愛好されています。回想、考察、記録などの目的で、自分自身の内面を包み隠さず語る主人公(書き手)。その赤裸々な独白は人間味に満ちていて、読者の感情を大いに揺さぶることでしょう。
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自意識と厭世観に囚われ、地下室に閉じこもった小官吏の回想録です。「意識」に対する思想を論じる第1部、具体的な体験談を語る第2部に分かれていますが、後半は物語としての色彩が一層濃密に。憎悪する人間たちに復讐を企てるも失敗し、挙げ句にはなりゆきで娼婦に説教する始末。そのヒステリックな姿には哀愁すら感じます。
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パリを放浪する青年マルテの随想録です。本書は著者唯一の長編小説であり、都会をさまようマルテの思想を断片的に覗き見るような構成が特色。パリでの体験、家族との思い出、歴史上の人物評、彼の考察は断章形式で次々切り替わり、いったいどこに着地するのか?不安定な精神の揺らぎが洒脱な言葉で表現されています。
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6歳児並の知能である32歳の知的障害者が、脳手術で天才に変わるSF小説。ハツカネズミと実験を受けた主人公の経過報告書という形式で、徐々にIQが上昇して難解な問題を解く喜びを味わう様子がうかがえます。しかし喜びも束の間、知識を得るとともに彼は非情な現実を知ることに。知能の発達がもたらす悲しみを描いた名作です。
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人類最後の1人となった女性の物語。人類が消失した理由も、彼女だけが生き残った理由も、明らかにされることはありません。海辺の家で孤独な日々を送りながら、淡々とタイプライターを叩く彼女の記憶だけが描き出されていきます。即興的な日記に明確な起承転結はなく、自由連想法のような言葉の連なりが独特の世界を形作ります。
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舞姫 現代語訳
森 鷗外(著) , 井上 靖(訳)
前途有望の官僚としてドイツ留学後、紆余曲折を経て帰国の途に就いた人物の回想録です。主人公は現地で出会ったエリスという美少女と交際中、不本意な経緯で免職されることに。その後、友人の助力で復職と帰国のめどを立てますが、彼はエリスに真実を告げられず苦悩することに。著者自身の体験を踏まえた問題作です。
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