ブックキュレーターhonto編集員
戦争と日記。稀代の作家たちが見つめた第二次世界大戦下の日常
戦争という非常事態にあっても人にはそれぞれ日常があり、日々の暮らしが止まることはありません。ここでは稀代の作家たちが、第二次世界大戦下の日常を記録した日記や手記の傑作を紹介します。人々は何を食べ、何に喜び、何に怒り、終戦をどう見ていたのか。歴史の教科書からは見えてこない、貴重な記録ばかりです。
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『長靴下のピッピ』で知られる作家リンドグレーンは、ドイツがポーランドに侵攻した日、戦争日記をつけることを決意します。当時のリンドグレーンは作家ではなく、戦争中立国のスウェーデンに暮らす子育て中の事務員。自らの考えをはっきりさせるためにつけたという日記は終戦の日まで続き、驚くほど丹念に、正確な情報を集めていたことがわかります。
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後に戦後を代表するエンターテインメント作家となる山田風太郎は、昭和20年の戦時下、医師を目指す学生でした。深刻な物資・食糧不足、凄惨きわまる空襲体験の下にあっても日記を書き続け、敗戦後の急激な政治体制の変化に当惑する人々の言動も詳細に記録されています。日本人論としても秀逸です。
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『日本沈没』などで知られるSF作家・小松左京は、14歳で敗戦を迎えます。本書は戦時下から戦後という「歴史的異常状況」にあった青春時代の日々を綴った手記。軍事教練や学徒動員、軍国主義に染まった大人たちから理不尽な抑圧を受ける生活を当時の中学生はどう感じていたかがリアルに伝わってきます。「大阪万博奮闘記」も併録。
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恋愛小説の名手であり類まれなるエッセイの描き手でもあった作家・田辺聖子。本書は1945年から1947年までの日々の記録です。70年の時を超えて親族によって発見された日記には、「純粋培養の軍国少女」だったという田辺聖子の生々しくも瑞々しい言葉が並んでいます。
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世界中にファンを持つ児童文学作家ケストナーが、第三帝国(ナチス支配下のドイツ)末期から降伏直後の激動の日々を記録した一冊。国中が戦争で破壊しつくされたなかで右往左往する人々の姿を、自らもその一人として生きながら、活写していきます。皮肉とユーモアあふれる文体の裏に、忘却を戒める強い思いが感じられる一冊です。
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