管理社会と人間の性（さが）を描いたSF作家！はじめての伊藤計劃

伊藤計劃の死後、円城塔が引き継いで完成させた物語です。屍者に新たな命を吹き込み労働力として活用する技術が発達した世界で、政府の諜報機関の指令を受けたワトソンは、最初の屍者である「ザ・ワン」を追います。「生命」とは、「人間」とは何かを問うSF小説です。

個人は公共のリソースで、「プライベート」という言葉が性的で卑猥とされるこの社会では、健康で幸福であることが義務化されています。にもかかわらず、ある日同時多発自殺事件が起こり、主人公の目の前で親友の1人が命を落とします。伊藤計劃が関心を寄せた管理社会を舞台に、少女たちが人間と世界の「ハーモニー」に迫る物語です。

伊藤計劃のデビュー作です。テロとの戦いのなかで謎の男を追いながら、大量虐殺を引き起こす「虐殺器官」の存在を知った米軍大尉のクラヴィス。情報管理社会において、彼が手に入れた「平和」の真実とは・・・。平和の意味を問う、永遠の名作です。

全世界で大ヒットした人気ゲームの完結編のノベライズです。悪魔の核兵器「メタルギア」から世界を救って来た伝説の英雄、ソリッド・スネーク。彼の身を急速な老いが襲うなか、戦争経済に支配された世界と、自らの呪われた運命から解放されるため、最後の闘いに臨むことに。ゲームを知らない方でも楽しめます。

『屍者の帝国』の冒頭部分をはじめ、短い作家人生の間に伊藤計劃が書き遺したテキストを集めた短編集です。マンガや円城塔と共作の「解説」など、著者が遺したあらゆる断片を読み比べることのできます。ほかの著作を読み終えたあと、じっくり読み直したくなるはずです。