「もしもあの時、別の道を選んでいたら」パラレルワールドを描いた小説

仕事を解雇され、愛猫を亡くし、家族も友人もいないノーラ。さまざまな後悔に苛まれた彼女は、衝動的に命を絶とうとします。しかし、目覚めるとそこは「選ばなかった人生」がある不思議な図書館で・・・。ノーラの動向を見守るうちに多くの気づきが得られ、読後にはきっと過去も未来も愛おしくなっているはずです。

大学1回生に戻った「私」は、「もしも異なる4つのサークルに入っていたら？」というパラレルワールドを体験します。「タラレバ」ばかりを考えて後悔している方に、どの道を選ぼうと自分自身が変わらないかぎり結果は変わらないのだと、やさしく気づかせてくれます。サクサク読み進められるテンポのよさも軽快な小説です。

43歳の秋に死んだはずのラジオディレクターのジェフは、気づくと学生寮にいて、記憶も知識もそのまま18歳に逆戻り。今度は成功者になりたいと生き直し、富を手にしますが、また同じ日に死亡。そうして再び18歳に戻り・・・。何を手に入れても満足できない人間の業を描き、幸せな人生とは何かを問う名作です。

パラレルワールドを行き来する少女たちの青春を描く表題作や、ありえたかもしれないもう一つの日本SF史など、バラエティに富んだ設定の物語がそろった短編集。なんの説明もなく物語が始まり、異世界に放り込まれ、戸惑いながらも未知の世界を探検するようなドキドキ感が味わえます。パズルのようにつながっていく快感もある一冊です。

今の記憶を持ったまま10ヵ月前の自分に戻れるという夢のような「リピート」に、半信半疑で挑んだ10人の男女。でもひとり、またひとりと不審な死を遂げて・・・。誰もが夢に見る「もうひとつの人生」を題材に、さまざまな驚きを提示。最後まで一気に読ませてくれる疾走感がたまらない傑作ミステリーです。