ブックキュレーターhonto編集員
小説の形式を根本から引っ繰り返す!?文体&レイアウトがユニークな実験小説
実験小説の世界を覗くと、斬新な手法で小説の可能性を広げるたくさんの快作に出会えます。複雑な構成、類を見ない表現法など、既存の形式に囚われないユニークな発想と技巧は新鮮な読後感を与えてくれます。そうした数々の実験小説から、文体・レイアウトのおもしろさに特化した本をそろえました。ぜひ、小説の奥深い可能性に触れてみてください。
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狂人の太鼓
リンド・ウォード(著)
シカゴ出身の画家・版画家であるリンド・ウォードによる「文字のない小説」です。アフリカで行われた奴隷商人の暴力と略奪、略奪品に含まれていた太鼓が一家にもたらす災厄の数々、次世代に引き継がれていく呪い。そうした因果応報の物語が120点の木版画で表現されています。暗示的で不気味な「無言の語り」に圧倒されます。
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青白い炎
ナボコフ(作) , 富士川 義之(訳)
言語遊戯の作家、ナボコフがアメリカ移住後に執筆した小説です。文学研究者のチャールズ・キンボートが詩人ジョン・シェイドの遺稿である999行の長編詩に注釈を付けるという内容で、詩と注釈の組み合わせで構成されているのが特徴。脱線を重ねて自分語りに偏る注釈の効果で、不思議なバランスの小説に仕上がっています。
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物語をタロットで修飾するのではなく、タロットに合わせて物語を創造するというメタフィクショナルな構造の小説です。会食者の前で並べられるタロットカード。人々は札の意味を考え、その世界に没頭していきます。偶然性の小説技法を登場人物に使わせるという、文学の魔術師カルヴィーノの知的遊戯を楽しむことができます。
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これは小説ではない
デイヴィッド・マークソン(著) , 木原 善彦(訳)
実験的な小説で知られるアメリカの作家、マークソンの小説。小説の前提といえる物語・登場人物が存在せず、芸術家のトリビア・言葉・作品の引用といった断片的情報をひたすら書き連ねていく本書は、小説であることを否定する反小説として、新たな小説作法を生みました。呟きのような短文の羅列を追うだけで楽しくなってくるはずです。
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実験小説ぬ 傑作短編集
浅暮 三文(著)
奇想的な作風で人気を集めている浅暮三文の短編小説集です。実験短編集と異色掌編集の2部構成で、全27編の快作を収録。複数の記号と連動する文体、メタフィクション、ショート・ショート、辞典形式といった古今東西の実験要素を盛り込んだ贅沢な作品集であり、その遊び心満載の表現法には新鮮な驚きと喜びを覚えます。
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