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豊かな自然とぬかるみから浮かびあがる真実!「湿地」を舞台にした小説
世界各地に存在する湿地は、古今東西のさまざまな芸術のなかで表現されてきました。小説では特に、人間の深淵へと迫るミステリーやサスペンスの舞台として幾度となく描かれています。陸と海のあわいで綴られる繊細な物語。独特の雰囲気に注目したい「湿地文学」を紹介します。
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2019~2020年の2年連続アメリカで最も売れた本として知られ、日本でも2021年に本屋大賞翻訳部門を獲得するなど話題となった小説です。ノースカロライナの湿原で美しくみなぎる生命と、貧困と差別に晒される少女・カイアが直面する厳しい現実の双方に胸を打たれます。動物学者である著者ならでは視点で動物と人間を描き出した傑作です。
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アイスランドの首都・レイキャヴィクの湿地に建つアパートで、老人の遺体が発見されます。事件を捜査する主人公は、薬物中毒で未婚のまま妊娠した娘との関係に悩みを抱えていました。生と死の狭間で葛藤する人々、そして迎える衝撃の結末。湿り気と異臭の漂う空気と、淡々とした無駄のない展開に引き込まれることでしょう。
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スタジオジブリによる映画版は現代の北海道を舞台にしていますが、イギリスの児童文学である原作ではイングランド南東部の港町を舞台に物語が繰り広げられます。手漕ぎボートで入り江をピクニックする様子など、まぶしくきらめく友情は光る水面のよう。自分を映す鏡としての水や、日常と非日常の境界である湿地を楽しめる不朽の名作です。
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精神科医で犯罪心理学者でもある著者の代表作の一つ。1960年代末から1970年代にかけて日本を覆った大学闘争。『湿原』は、その荒波に翻弄された男女が新幹線爆破事件の冤罪を着せられ、法廷で闘うという衝撃的な物語です。逃避行先に選ばれた釧路湿原の原生風景が、美しい筆致で綴られています。「人間の魂」について考えさせられます。
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